デ・ユウアール
●土着品種『ロモランタン』の先駆者●
世界で僅か55haしか栽培されていない土着品種「ロモランタン」。ウアー家は100年以上前から栽培し、樹齢75年以上の古樹からもワインを醸す。RVF誌でAOCクール・シュヴルニィ唯一の星付き評価を獲得。
55haのみの極小AOC
ロワールで最も目立たない AOC「クール・シュヴルニ ィ」。この地で7 代続く造り手が「デ・ウアー」。1922 年 より元詰めを開始。現在は「ミッシェル・ジャンドリエ」 が家族と共にドメーヌを経営している。
『フランスでもロモランタンを知らない人は多い。世界中でもここにしか存在しない。僅か55haしか植樹されていない』
クール・シュヴルニィとして栽培可能な品種は「ロモラ ンタン」のみ。「デ・ウアー」は 8ha のロモランタンを所 有。AOC を代表する造り手になっている。
『Les Meilleurs vins de France 誌でも高い評価を受 けている。2015 年版ではクール・シュヴルニィで唯 一、星付き評価となった』
現在はシャルドネとソーヴィニヨン・ブラン、赤はガメイ とピノ・ノワールも栽培。それらは AOC シュヴルニーと してリリースしている。
98年よりビオディナミ
『ビオディナミは特別ではない。土、空気、水といった 自然の力を利用する。私達にとっては自然に寄り沿 いワインを造る唯一の農法』
彼等は1989年からビオディナミを導入。技術の進歩と共に人間が壊したエコシステムを元に戻すべきと考えている。
『ビオディナミの導入は、50年前のワイン造りに戻ることだった。植物の成長リズムを細かく観察し、それ に合わせて畑の手入れをするだけ』
複数のハーブを生やし生物多様性を保っている。必要な場合には500 番と501 番調剤を使う。
『畑のバランスが崩れたら、ハーブや調剤を少しだけ与える。あとは葡萄樹が自ら病気への耐性を強めてバランスを取り戻す』
絶滅寸前だったロモランタン
「デ・ウアー」は 100 年以上前からロモランタンを栽培 してきた。樹齢 75 年の古樹も所有している。
『16世紀から栽培されている土着品種。砂地を好む為、フィロキセラの被害も受け難い。この地域にし か適応しない品種』
高い酸度を持つロモランタンはアッサンブラージュ用の品種として好まれた。しかし、60年代以降にシャル ドネやピノ・ノワールに植え替えが進んでしまう。
『70年代に土壌との相性が良く、栽培の楽なソーヴィニヨン・ブランに植え替えられた。ロモランタンは絶 滅寸前だった』
酸度の高いロモランタンは飲み頃を迎えるまでに熟成が必要。ほとんどの造り手はで若いうちからリリース 出来るソーヴィニヨン・ブランを選んだ。
『ロモランタンはこの地域にしかない土着品種であり、国際品種にはない独自の個性を持っている。クー ル・シュヴルニーだけの個性』
「ミッシェル」の父「マルセル・ジャンドリエ」や「クリスチャン・テシエ」等の数人が「ロモランタン」の再興に尽 力する。
『1993 年、ロモランタンの独自性が INAO に認めら れ AOC クール・シュヴルニィが誕生した』
ロモランタンは長期熟成により真価を発揮する高貴品種。質の高い酸は口中をリフレッシュさせながら長 い余韻を作る。アロマティックではないがミネラル感を表現できるので近年注目されている。現在、「ピュズラ」や「クルト ワ」等もロモランタンを植樹している。