こんなワインです
80%サンジョヴェーゼ(樹齢43年)、コロリーノ・デル・ヴァルダルノ、チリエジョーロ、カナイオーロ、マルヴァジア・ネラ、トレビアーノ(樹齢45年)、マルヴァジア・ルンガ(樹齢45年)の7種類の品種が使われる。一部混植混醸造。一部アッサンブラージュ。15日間マセラシオン。セメントタンク発酵・熟成。一部古樽。
ジョコリのワイン
WINERY
生産者情報
ジョコリ
●白品種含む7品種混植混醸の昔懐かしいキャンティ●
決して偉大なワインではないし、専門誌で評価されるものでもないが、もはや味わえない30年前のキャンティを味わう事ができる 。ワイン はその地域に受け継がれてきた伝統や習慣が味わいに感じられるものであるべき。キャンティは世界基準に変化
イタリアの代表的テーブルワインだったキャンティは今や世界基準の味わいに変化。凝縮感が高く、重厚なスタイルが今の主流になってしまった。
『キャンティ・クラシコ協会は 2006 年から白葡萄の使用を禁止。80%以上サンジョヴェーゼであることを義務つけてしまった』
以前はサンジョヴェーゼが 75 %以上であれば、6つまで白葡萄が使用でき、カナイオーロ等の地品種の使用比率も高かった。
『世界の市場を意識し白葡萄を禁止した。これはキャンティらしさを捨て 、世界的基準を目指す事を決定づけてしまったのではないか? 』
木苺のような赤系果実と梅の風味だったキャンティ・クラシコは姿を消し、カシスのような黒系果実で強い凝縮感で重厚な味わいに変わってしまった。
『ワインはその地域に受け継がれてきた伝統や習慣が味わいに感じられるものであるべき。世界中で同じ味わいを目指す必要はない』
もはやクラシコでは素朴なキャンティには出会えない 。クラシコ以外のキャンティも同様で、 昔ながらのキャンティを見つけることはほとんど 不可能 。しかし、クラシコの東、テッラヌォーヴァ・ブラッチョリーニで代々農家を営むジョコリに白葡萄も使った懐かしいキャンティが残っていました。
『 自分が子供の頃から慣れ親しんだ味を捨てる事ができず、白葡萄も使った昔ながらの素朴なキャンティを今も変わらず造っている』
農家が造るワイン
現当主はマルコ・カンノーニ。ジョコリ は 5 世代に渡ってテッラヌォーヴァ・ブラッチョリーニで農家を営んできた小さな荘園。『トマト、芋 、カボチャ等の野菜を中心に数箇所の畑で葡萄の栽培も行っていた。ボトリングはせず、組合に葡萄の状態で売っていた』
お爺さんが自家消費用に独学でワインを造り始め、マルコも12 歳の頃からその作業を手伝い始める。自然と跡を継ぐようになった。
『父親の代になり葡萄での販売を止め、バルクでの販売に切り替えた。これを機に葡萄畑にトレビアーノやマルヴァジアを混植し始める 』
土壌はクラシコと違い複雑。シスト、粘土、砂質にそれぞれ畑を所有していて、土壌に合わせて品種を植え分けている。
『 5世代に渡り、 1 度も農薬が使われた事がない。更にどの畑も森に接しているので生物多様性が確保されていて葡萄樹は自然の一部になっている』
北側にはプラトマニョ山があり、湿気を遮るのと同時に北風が吹くのでカビが少なくベト病等も少ないので銅、硫黄もほとんど使わないで大丈夫。
『チュフェンナ川があるので地中に水脈があり、近年の気温の上昇や乾燥でも葡萄樹は過度のストレスを受けずに生育する事ができる』
凝縮したワインを造るつもりはないので収量を過度に抑えることはしない。鳥や猪が食べて自然と減る程度が丁度良い。全ては自然に。
『チェントピッチョリ畑ではサンジョヴェーゼの古いクローンでこの地域にしか残っていないピッコロ・プレコーチェも残されている』
市場の意見は関係ない
フェデリコ・レネッツィ、トスカーナで古典的なワイン造りのコンサルタントとして独自の栽培・醸造を展開してきた少し変わった人 。『ドリンカブルで無理のない土地に根差したワインを造る事が自分の仕事で偉大なワインを造ることには全く興味がない』
醸造は非常にシンプル。手作業での除梗、野性酵母での発酵。醸造時の亜硫酸無添加。温度管理なしでの発酵。
『昔の人達は機械がなくても経験で醸造できた。頬で発酵温度を感じ、高ければ北側の窓を開けて風を入れればいい。感じることが醸造なのです』
森に住み、豚と牛に囲まれて野菜を栽培し、川でサーモンを釣って自生しているハーブで料理する。動物の声を聞き、風で天気を知る。そんな生活をしてきた家族にとってワインは生活の一部で自然の恩恵。市場の意見を聞いて造ったワインではないのがジョコリの魅力なのです。