こんなワインです
樹齢 10 年のグリッロのみ。6 列のみの赤土区画の葡萄を使用し、白ラベルよりも 2 週間程遅く収穫。除梗後、破砕しソフトプレス。果皮ごとステンレスタンクに入れ、完熟した梗を 50%以下の割合でタンクに加える。6-8 日間のマセラシオン。発酵途中でタンクの蓋を開け 700L のトノーに移す。そのままバトナージュをしながら 1 年間熟成。その後、1 年間瓶熟。2020 年がファーストヴィンテージ。全てのキュヴェは自然酵母使用。無濾過、無清澄、温度管理なし。
マンリオ・マンガナロのワイン
WINERY
生産者情報
マンリオ・マンガナーロ
マルサラの土着品種、グリッロを復興させる
イタリア初のナチュラルワインバーをオープンさせた先駆者的存在
多くの生産者から得た知識と自らの感覚を活かし、マルサラでグリッロの個性を最大化する
❖イタリア初ナチュラルワイン専門店❖
スポーツ系アートディレクターとして働きながら、ワイン好きが高じてワインの勉強を開始。ソムリエ資格含め国際テイスター等の資格を取得してしまったマンリオ・マンガナーロ。その後、ワインを仕事にする事に決め、数軒のレストランでソムリエとして働いたり、ワインのテイスターとして雑誌に寄稿したりといった仕事を始めます。
『2011年、ロンバルディア州パヴェーゼにナチュラルワインに特化したレストラン、エノテカ・インフェルノをオープン。これは恐らくイタリア初のナチュラルワイン専門店だった』
各地の造り手を訪問しながらワインを仕入れ、自分が理解し、納得したワインのみを販売。奥さんの出身地であるシチリアは特に訪れる機会が多くありました。
『当時のシチリアはグラーチ、フランク・コーネリッセン、ジローラモ・ルッソが出現し、イタリアの中でも早くナチュラルワインムーブメントが盛り上がっていました』
シチリアでナチュラルでも綺麗なワインを探している時にマルサラのカンティーネ・バラッコと出会い、彼のワイン造りの考え方に感化されていきました。
『エノテカ・インフェルノはレストランだけでなく、ワインショップとネットショップも開設。イタリア全国のナチュラルでもテロワール表現のできる繊細なワインを販売している』
マンリオの父親は農家だったので、農業に強い憧れがあり、将来は農業に戻るつもりだったが、バラッコとの出会いが彼の人生設計を早めていく事になりました。
❖アントニオ・バラッコ❖
マルサラでナチュラルワインを造る、人気カンティーナ・バラッコ。自然な造りながらクリーンで綺麗なワインを造ります。当主はアントニオ・バラッコ。
『2016年、バラッコが、テロワールが優れているので購入したが小さ過ぎて困っていた1haを賃貸契約し、ワイン造りを開始する事を決めた』
栽培はバラッコの栽培チームが行い、マンリオもパヴィアから畑に通います。仕立はバラッコとは違うアルベレッロに似た仕立で、より集中力のある葡萄を目指します。
『畑はバラッコから借りて、栽培チームのサポートを得て、醸造もバラッコのカンティーナの一部を借りて、小さなステンレスタンク2つだけで行っている』
畑はマルサラから南東に35km南下した海岸沿い、トレ・フォンタネ地区。海から4kmで標高は10m程度。海風の影響を受けて塩っ気を感じさせます。
『1haの畑の中に、鉄分を多く含んだ赤土の区画と石灰岩や多くの化石を含む白い粘土質土壌に分かれている。暑いマルサラでも水分を保持できるのでワインはフレッシュ』
毎年暑く乾燥が強いシチリアでは赤土の粘土である事は非常に重要。水分を保持し、葡萄が焼けるのを防いでくれる。グリッロは適度な酸と塩っぽいミネラルを得る事ができるのです。
『乾燥した空気と絶え間ない海風が葡萄樹の間を通り抜ける環境は葡萄樹の健康にとって非常に重要。病気の原因になるカビが全く発生しない』
畑では一切の化学薬品は使われません。除草剤も一切使用しません。使う必要がないのです。下草は自由に伸ばされ、刈り込む事はありません。
『樹齢は若いが、造り手の経験も若い。アントニオ・バラッコに教えてもらいながら、葡萄と共に成長していければと思い、若い葡萄樹のある畑を借りる事にした』
現在もパヴィアのエノテカ・インフェルノは営業を続けているので奥さんが担当しながら、マンリオはパヴィアとマルサラを行き来していますが、収穫、醸造時期はマルサラに長期滞在。
❖グリッロの汚名挽回❖
2017年、1haの畑から僅かに2,600本のワインを初リリース。いきなりの完成度の高さにイタリア国内のナチュラルワイン関係者の間で大きな話題となりました。
『栽培するのはグリッロのみ。この品種がこの地域に定着したのには意味があるはず。他の地域では定着していない。この土地の表現に最も適した葡萄だと考えている』
プーリアが起源と言われるグリッロはフィロキセラで全壊したマルサラに持ち込まれ、気候条件に良い相性を見せ、増え続けてきました。逆にプーリアでは減少してしまいます。
『グリッロは酒精強化用に量産される傾向にあり、高品質のグリッロを栽培する造り手がいなくなってしまったのが大きな問題であり、品種自体に個性がない訳ではない』
樹勢が強く、収量を増やそうと思うとかなりの量が収穫できるが、そのようなモストは品種個性を失っていて、旨味のない薄っぺらいワインになってしまいます。
『グリッロは他の品種と違い、収量を抑えれば良い訳ではない。減らし過ぎるとグリッロ特有のミネラル感がなくなり、厚ぼったく重いワインになってしまう』
新梢をある程度伸ばし、摘葉も適度にして葉を多くのこす事で光合成を活性化させながら、ある程度の房数を付ける事でグリッロはバランスをとる事ができるのです。
■テッレ・シチリアーネ・ビアンコ・ホワイト
早めに収穫し、酸度が高い状態のグリッロをステンレスのみでシンプルに醗酵、熟成させる事でフレッシュな美味しさ。白い土壌の葡萄を使用。
■テッレ・シチリアーネ・ビアンコ・グレイ
通常より2週間収穫を遅らせたグリッロを2週間マセラシオンする事でワインに骨格を与え、酸の少ない分、果皮からのタンニンでバランスをとる。赤土の区画。
マルサラの土着品種、グリッロの本当の個性を自然なワイン造りで最大化し、グリッロの汚名を挽回したいマンリオ。ナチュラルでも綺麗で最高のバランス感覚です。