こんなワインです
小石、砂質、クォーツが混ざる花崗岩質土壌。標高740m。樹齢6〜20年程度の比較的若い畑。全て手摘み、畑での選果、セラーで2回目の低温選果を行う48時間落ち着かせてから空気圧にて優しくプレスし225lの仏古樽で発酵、1ヶ月澱とともに熟成させてから、ステンレスタンクに移し、落ち着くまで熟成。
フロンティオのワイン
WINERY
生産者情報
フロンティオ
捨てられた産地アリベスの土着品種ホアン・ガルシア
ポルトガルとの国境付近、アリベスで自然なワイン造りを始めたデンマーク人
ブルゴーニュ以上に繊細で軽やかな味わいはスペインワインの概念を覆す
❖DOアリベス❖
ポルトガルとの国境に流れるドウロ川を見下ろす広大な高地にあるDOアリベス。かつては1,300ha以上の葡萄畑がありましたが、現在では半分以下まで縮小したマイナー産地。
『1988年に申請されてから20年以上かけて、ようやく2007年にアリベスとしてDOを与えられた。47の村からなる産地だが、耕作放棄が進んでいる』
降雨量が年間700mmと比較的多いので、極度の乾燥からは守られ、ドウロ川の影響で夏は暑すぎず、冬は寒過ぎないので繊細なワインを造る事ができます。
『土壌は花崗岩、シストの混合土壌にドウロ川由来の砂と小石が混じり、場所によっては砂岩とクォーツが強く出ている。ミネラル豊富だが有機物が極端に少ない』
有機物が少なく、酸性に傾いた土壌では、ある一部の植物しか育たない厳しい環境。葡萄樹は酸性に耐性があり、痩せた土壌でも地中深くまで根を伸ばし生き抜いています。
『有機物が少ないので葡萄樹は栄養分を地中深くまで探しに根を伸ばしますが、密植すると若い内に互いに栄養を奪い合い死滅してしまう。株仕立で樹間を広くとる事が重要』
花崗岩は一部変質し粘土に変化。この粘土質とシストは保水力があるので暑い夏でも葡萄樹は生き延びる事ができます。アリベスの厳しさは乾燥や暑さより土地の貧しさなのです。
『中世から葡萄栽培が行われてきた歴史的産地ですが、その土地の貧しさから生産性が悪く、徐々に葡萄畑は耕作放棄され、ワイン造りは廃れていく』
協同組合は閉鎖され、組合に葡萄を売っていた農家の高齢化もあり、素晴らしいポテンシャルの葡萄畑は捨てられ、一時は500ha以下まで減ってしまいます。
『DOアリベスは大手1社のみが世界的に認知されているだけで、アリベス産のワインをスペインの他の都市で飲む事もできない程に廃れていた。失われた産地だった』
標高1,000mも珍しくないカスティーリャ・イ・レオン州の西端、ドウロ川を見下ろす標高650mのテロワールは重厚でない、繊細なワインを産む希少な産地だったのです。
❖捨てられた畑を復元❖
『1,000のボデガの村と呼ばれるアリベスのフェルモゼリ村。廃業して捨てられた地下セラーが何百と残されていて、ここが一大ワイン産地だった事が想像できる』
デンマークのエネルギー関連会社でサラリーマンをしていたティウィ・ベネット・ジェンセンは、自然環境に興味があり、同時にワインにも強い愛情を持っていて、趣味で色々な産地を訪問。
『フランス、イタリア、スペインを旅して経験し、グレドスとアリベスに惚れてしまった。特にアリベスは当時、DO認定もなく、無名であり、自然そのものが魅力的だった』
経済学を学び、エネルギー関連会社で毎日パソコンの前で天然ガスのトレーダーとして働く中で、人間としての愉しみに疑問を感じてしまったというティウィ。
『小さな造り手の多くはワイン造りの経験がなく、関係ない職種からワイン造りに転職している事を知った。ワイン造りは科学ではなく農業だった。これならやれそうだと思った』
2016年、デンマーク人のワイン愛好家は醸造経験も無いまま、ポルトガル国境付近、アリベスのフェルモゼリ村に移り住み、200年前のセラーを借りてワイン造りを始めてしまいます。
『耕作放棄された葡萄畑を地元の老人から買い取り、有機栽培で良い状態に戻していく。一部は樹齢100年を超える樹もあり、相当のポテンシャルを持っていた』
❖土着品種ホアン・ガルシア❖
DOも無い田舎の産地だった事と耕作放棄されて長かった事から農薬は使われておらず、土壌は痩せているが、健康的で葡萄樹自体はエネルギーを持っていた。
『手作業で剪定し直し、ゴブレ仕立で自由に新梢を伸ばしていく。土地が痩せているので葡萄樹は過剰に枝を伸ばさないので過度な剪定は必要ない』
所有畑は8haで10か所以上に分かれています。自由に新梢は伸ばされ、支柱もないゴブレ仕立。下草は残され、表土の感想を防いでいます。
『葉を多く残し、強過ぎる直射日光から葡萄果実を守る。同時に光合成を活性化し、厚い果皮を作り、葡萄果実そのものの生命力を高めていく』
良い葡萄から悪いワインは造れますが、悪い葡萄からは良いワインは造れない。最高の葡萄を栽培する事でしか理想のワインは造れないのです。
『この地域の重要な品種がホアン・ガルシア。繊細な味わいを実現しながら、土地の個性を表現できるのでアリベスを代表する葡萄品種と言える』
白品種のカエタナ・ブランカと黒葡萄のアルフロシエイロ(ポルトガル)の自然交配品種と言われていて、まさにポルトガル国境のアリベスらしい品種と言えます。
『果皮は少し紫っぽく楕円形。非常にコンパクトな房で、ある程度病気にも強く、アリベスの気候にも対応する。繊細なミネラルと適度な酸。そして低めの糖度を持つ』
ホアン・ガルシアを使って、スペインにも繊細でストラクチャーがあり、余韻に複雑性を持ったワインが出来るという事を証明してアリベス、そしてホアン・ガルシアを有名にしたい。
『アリベスの自然環境保全の為、ワインを6本売る度に、色々な種類の木を1本植える活動をしている。葡萄栽培は自然の一部なので、それを残していきたい』