アルシュラ2019

凄い凝縮感だがミネラルの強いテンション

ヴァルテル・マットーニ

アルシュラ2019

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品種 モンテプルチアーノ
ヴィンテージ 2019
受賞歴 平均樹齢35年
種類
容量 750ml

力強さとしなやかな果実味

濃厚な色調。ボリュームはありつつ心地よい酸が飲み疲れない。

ライトボディ フルボディ
フレッシュ 複雑
酸味 甘味
タンニン弱 タンニン強

こんなワインです

カストラーノ村の重い粘土質土壌の畑(標高250m)に育つ平均樹齢35年のモンテプルチャーノ。標高300mの3つの畑(南〜南西向き)を別々に収穫、発酵させる。発酵は野性酵母のみでステンレスタンク。マセラシオンは20日程度。熟成は古バリックで15〜20ヶ月間。ボトリング後、6ヶ月熟成。

ヴァルテル・マットーニのワイン

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  • トレビエン 2020

    ヴァルテル・マットーニ

    遅摘みトレビアーノを 10 日間マセラシオン

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  • コセ・コセ2021

    ヴァルテル・マットーニ

    遅摘みのサンジョヴェーゼの旨味

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WINERY

生産者情報

ヴァルテル・マットーニ

10 月中旬収穫で葡萄の要素全てをワインに


マルケ州南部アスコリピチェーノのローム層土壌のモンテプルチャーノ
凝縮力は強いが、ミネラル、ヨード感を強く持っている独特の世界観


❖栄養補給の為のワイン

マルケ州南部のカストラーノ村。この村で代々、レンガ作りを行ってきたマットーニ家(マットーニはレンガの意)の当主ヴァルテルは大工として生計をたてています。
『祖父ナッツァレノは顔を洗う時も口に水が入らないように気を付けていた。子供の頃から水分はワインで取るのが当たり前だったから。水の方が衛生的に危なかった』
50 年代のイタリアの田舎町では飲み水はバクテリアの繁殖があり、危険とされていて、発酵食品のワインの方が安全で栄養価も高いとされていました。
『ワインで水分補給し、エネルギーを得るというのは、その時代の当たり前であり、ワインは贅沢品ではなく、生活必需品。ワインを各家庭で造る事は伝統だった』
1980 年代まではマットーニ家も家でワインを造り、家族の飲み物として普通に存在していましたが、祖父の衰弱の為、畑は耕作放棄され、ワイン造りの伝統は途絶えます。
『1997 年、友人でワイン造りを始めていたオアジ・デリ・アンジェリが造るクルニがガンベロロッソで 3 ビッケーリを獲得。世界的人気となり周囲を驚かせた』
ヴァルテルと同じように伝統的に家でワインを造っていたオアジ・デリ・アンジェリの成功に刺激を受け、ヴァルテルも祖父の畑の再生に取り掛かりました。
『祖父の 5 ヶ所に分かれた全 2.5ha の畑は荒れ果てていた。これを 1 人で再生し、工房の一部にエナメルタンクと古樽を入れ、ワイン造りを開始』
2000 年、工房の一部を醸造所として登録。遂に、自らのカンティーナ、ヴァルテル・マットーニを設立し、祖父のワイン造りの再現に取り掛かります。
『オアジ・デリ・アンジェリ、レ・カニエッテ等のアスコリピチェーノ周辺の若手生産者が集まり、自分達のワインを試飲しながら、栽培、醸造を学び合っている』
各地で次世代の造り手達が集まり、ヴァン・ナチュールの造り手が誕生していますが、遅れていたマルケでも、ようやく自然な栽培、自然な醸造の若い造り手が出てきたのです。


❖10 月中旬の収穫

マルケ州の最南端、アスコリピチェーノ県にあるカストラーノ村。アブルッツォ州との州境にあり、アドリア海まで 10km。トロント川に向かって、なだらかな南向き斜面になっています。
『西側にグランサッソ、マイエッラ山塊があり、東側にはアドリア海。南側はトロント川に囲まれ、暖かく潮を含んだ海風と冷たく乾燥した山風の両方の影響を受ける』
土壌は砂と粘土が混じり合ったローム層で、ある程度の保水性を持っている。乾燥にも強く、葡萄樹が焼ける事もありません。海に由来する石灰、小石を含み、マグネシウムが豊富。
『気候的にも土壌的にも葡萄栽培にとって優れた環境なだけに、葡萄の生育は良い。問題は収量が多過ぎる事。収量を抑えなければ表現力のあるワインは生まれない』
この地域の平均的収量は 100hl/ha と、かなり多くなっていますがヴァルテル・マットーニでは 40hl/ha と地域平均の 1/2 程度まで収量を制限しています。
『白ワインも赤ワインもロゼワインでさえ、色々な要素を持ち、複雑性を感じさせるワインが理想。収量を制限する事で葡萄は多くの要素を果実に蓄える事ができる』
収量を抑え、収穫時期を遅らせているのでモンテプルチャーノの潜在アルコール度数は 15 度を超えるが、それでも葡萄の持つ要素の最大化を最優先しています。
『葡萄の種子、茎まで完熟するまで収穫を待つ必要がある。周囲の生産者の収穫が 9 月中旬なのに対して、ヴァルテル・マットーニの収穫は 10 月中旬。1 ヶ月遅い』
アルコール度数は 1 つの要素であり、他にも重要な要素があるのです。アルコールを下げる為に早く収穫した葡萄は要素が少ないので抑揚のないワインになってしまうと言います。
『凝縮しているが、甘くない。海のミネラル、ヨード感を持っているアスコリピチェーノのモンテプルチャーノは海産物と合わせても美味しく楽しめる』
強く凝縮して色調も濃いアルシュラは濃厚で重そうに見えますが、実際には酸度も高く、繊細なタンニンやスパイス、ミネラルがあるのでアルコールが高くてもテンションがあるのです。


❖要素の多いワインでありたい

『お爺さんのワイン造りと設備的には変わらない。ポンプも無いので、全て手作業で移し替え。プレス機も主導なので電動機械はない昔の家庭と同じワイン造り』
■トレビエン
白葡萄は、この地で糖度補充の為に植えられていたトレビアーノ。今では非常に珍しい。樹齢 45 年以上で古い畑からマッサルセレクションで移植したものです。
『標高 250m 南斜面の 0.8ha の畑から僅か 1,500 本だけ造られるトレビアーノ。10 日間マセラシオンして果皮の旨味、タンニンを得ている』
■アルシュラ
10 月に収穫するという驚異のモンテプルチャーノ。お爺ちゃんの畑に残っていた古いクローンで樹齢は 40 年程度。初ヴィンテージは2006 年。年産 4,000 本のみ。
『モンテプルチャーノは還元しやすい品種なので、空気と触れ合わせながら野生酵母のみで発酵。収穫が遅いのでマセラシオンは短めの 15~20 日』
■コセコセ
祖父が所有していた畑に 0.7ha だけ残っていたサンジョヴェーゼ100%のワイン。やはり収穫は 10 月中旬とトスカーナより 1 ヶ月以上遅いというから驚きです。
『樹齢 60 年を超えるサンジョヴェーゼは非常に表現力が強く、モンテプルチャーノよりも垂直性があり、伸びのあるスタイル。トスカーナ以上のエレガンスを持っています』