こんなワインです
60%グルナッシュ、30%シラー、10%ムールヴェードル。コート・デュ・ローヌの中心部ケランヌ・ラストー・ヴァケラスを中心に使用。ローヌ河に流され堆積した石を含む粘土砂質土壌。ジャン・リュック・コロンボのワイン
WINERY
生産者情報
ジャン・リュック・コロンボ
●コルナスの樹齢90年の古樹●
アルコールが全面に感じられる従来のローヌワインとは全く違う。繊細、軽快な果実味。2010年からは2代目のロール・コロンボがワインを手掛ける。女性さしさが更に感じられる。
父、母、娘、3人の醸造家
1982年、醸造家「ジャン・リュック・コロンボ」は妻で同じく醸造家の「アンヌ」と共に「コルナス」に成分分析等を請け負う研究所を開設。そこで「ジャナス」など有名ドメーヌのコンサルタントを担当し、北ローヌワインの質の向上に貢献した。 1995 年には自らのドメーヌを設立。コンサルタントをしている造り手から葡萄を購入し、ネゴシアンとしても活躍し始めた。彼等が大切にしているのが味わいのバランス。『ポール・ボキューズ、アラン・デュカス、ベルナール・ ヴォション等料理人に評価される。彼等はエキリーブル(バランス)を大切にするから』
研究所のお陰で造り手との関係ができた。よって葡萄畑を購入するよりも効率的に質の高い葡萄を購入できる。自社葡萄のワイン造りには拘らない。
『料理人は素材を厳選するが、種から育てはしない。 醸造家も同じで葡萄を厳選することが重要。それができればドメーヌ・ワインに負けない』
2010 年には娘で醸造家の「ロール」も加入。彼女は各誌で注目される若手人気醸造家。元々、ソムリエ として「アラン・デュカス」などで活躍。
『シャンパーニュ、インドのワイナリーで経験を積み、 フランスに戻り、醸造学校に入学。最後はシャトー・ オー・ブリオンで醸造を学んだ』
彼女は自社畑を増やしている。北ローヌを中心に南仏も開拓。古い樹の畑が増えている。
花崗岩のシラー「コルナス」
シラーは気難しい品種と言われる。日照量が少ないと青さが出てしまうが、南の暑さの中ではアルコールが上がり過ぎるし、ストラクチャーに欠ける。 北ローヌの最南端に位置する「コルナス」はシラーが本来の姿を見せる理想郷と言われる。特徴は 2 つの気候の影響と花崗岩土壌。大陸性と地中海性気候がぶつかるのがコルナス。地中海気候特有のオリーブ、ローズマリー、ガリーヴと大陸性気候特有の楢やブナの木が自生する地。『2010 等の冷涼な年は北の大陸性気候。2009 等、温暖な年は南ローヌの影響を強く受ける』
土壌は風化した古い花崗岩。60cm 程の表土は砂、 花崗岩に僅かな粘土が含まれる。その下は風化した花崗岩盤。
『コート・ロティは結晶片岩、片麻岩主体。コルナスは花崗岩。エルミタージュは同じ花崗岩だが黄土が多く含まれる』
「コルナス」は北ローヌの中で最も男性的だが、エルミタージュよりも上品。赤系果実の香も出てくる。エキリーブル(均衡)なワインと言える。 「コート・ロティ」は傾斜がきつく冷涼。すみれやスパイスのニュアンスが強い。タンニンは細かく、硬い。 「エルミタージュ」は黒く熟した果実と強靭なタンニン が特徴。硬さはないがタンニンがこなれてくるまでには時間が必要。
プレ・フィロキセラのシラー
「コルナス」は北ローヌで最小のアペラシオン。僅か120ha程しかない。彼等は 1982 年に「コルナス」の 丘中腹の区画「レ・ルシェ」を購入した。『レ・ルシェは樹齢 90 年の古樹も含む。急斜面に位置し表土が流れやすいので木片を撒いて下草も伸ばしている。コルナスの典型的スタイル』
現在、自社畑は 12ha。古い樹の畑を積極的に買い進めていて「レ・ルシェ」には原種で「プレ・フィロキセラ」のシラーも残っている。原種のシラーは幹が細く、ねじれるように上に伸びていくのが特徴的で簡単に見分けられる。
『以前は多くのプレ・フィロキセラが残っていた。しかし急斜面での作業は大変で 1900 年代半ばには多くの造り手が畑を捨ててしまった』
今では娘「ロール」が過去に放置されてしまった優良区画の再開拓にも取り組んでいる。
『仕立はエシャラ仕立。上に伸ばしたツルを隣の樹に誘引してアーチ状に仕上げる昔の仕立』
アーチ上部の葉の量を調整することで葡萄に当たる日照量を調整できる仕立で効果的だが、トラクターが入ることはできない仕立。 最後に、エチケットには蜂が描かれている。彼等は蜂の保護を行っていて養蜂をしながら蜂を野生に返している。
『葡萄の受粉の90%は蜂が行っている。その蜂を守ることは受粉を促進するだけでなく、害虫を減らすことにもつながる』
栽培は基本的にビオロジックが採用され、昔の仕立など伝統的な手法を大切にしている。醸造に関しては今の次代に合わせて変化している。
『ローヌは重たく酸化したワインが多かった。健全に果実を味わうことができるワインが理想』