こんなワインです
標高290mのラ・ラオナ畑とソタ・セッラ畑。1973年と1984年に植樹されたチャレッロが残っている。購入後、再生し、12年以上耕作されていない畑。完熟の状態を手摘みで収穫し、5度以下まで冷却。低温のまま破砕し空気圧で50%のみ優しくプレス。その後、1日低温で放置し軽くラッキングしてからステンレスタンクで発酵。野生酵母のみ。1年間ステンレスタンクでシュール・リー熟成。無濾過、無清澄。酸化防止剤無添加で陶器のボトルに入れ、コルクをし地下の貯水槽にて熟成。オーダーがかかるまでそのまま熟成。生産本数1,050本。
トン・リンバウのワイン
WINERY
生産者情報
トン・リンバウ
遅摘み自然発酵!陶器ボトルに詰めて水中で熟成
極限まで待って完熟させた葡萄は凝縮し、エネルギーに満ちています
酸化防止剤無添加、陶器ボトルに入れて水中で5年以上熟成
❖クモとコウモリが畑を守る❖
スペイン全土で盛り上がるナチュラルワイン。特にカタルーニャはナチュラルワインの発信源として多くの造り手が集まり、色々なタイプのワインが造られています。
『葡萄が本来持っている生命力を、そのままワインにする事で本当のナチュラルワインが出来る。エネルギーが感じられるワインこそがナチュラルワインなのです』
微発泡で軽く飲みやすいグルグルワインがナチュラルな訳ではなく、トン・リンバウにとってのナチュラルワインは葡萄のエネルギーをワインに変換したものなのです。
『葡萄は太古から葡萄以外の植物、昆虫、動物と共に共存し、現代まで生き残り、人間はそのエネルギーをワインという形で取り入れてきたのです』
当主、トンはビオディナミを超えて自然の生態系の中で葡萄を生かす事で葡萄のエネルギーを最大化させ、その葡萄をワインに変換する事を目指します。
『古い樹が残っている畑を自家製のコンポストを使って再生し、葡萄樹を良い状態に導きます。その後は銅、硫黄も含め何も与えず、自然界の中で共存させる』
下草は花が咲くまで残す事が大切。花、種子までもが最終的に土壌に戻る事が重要で、草だけ戻っても本当の意味の生物多様性は実現できないのです。
『さとうきびの若い芽を煎じたものは葡萄樹を強過ぎる太陽から守り、つくしを煎じたものでマンチャペネデス(病気)に対応。天然の植物は自然界のバランスをとる事ができる』
タンポポ、さとうきび、アロエ、ローズマリー、イラクサ等の自分達の畑の周辺に自生している植物のみで葡萄樹の自然治癒力を刺激して葡萄樹が自然と強くなるように導いています。
『クモとコウモリは重要です。自然のバランスを司るのは彼等なです。防虫剤やホルモン剤ではなく、クモやコウモリが害虫の95%を捕食して生態系のバランスをとっている』
1haあたり15匹以上のクモが存在している事が重要。コウモリは近くの森に巣を作るので森がある事はとても重要。彼等は天然の防虫剤なのです。
『12月から3月までは畑に山羊を放し、下草を食べさせると同時に糞が土壌を活性化し、土地を耕します。人間が介入し、不均衡を作ってはいけないのです』
ビオディナミを超えた地球生態学、地電流、地球放射までもを取り入れた独自のパーマカルチャーシステムで葡萄畑を活性化、自然の均衡を重視しています。
『葡萄畑に与えられる自家製のコンポストは2種類。牛乳からホエー(乳清)を取り出したもの。また色々な植物に牛糞を加えて長期醗酵させたもの』
販売されているコンポストではなく、畑の周辺にある原材料から造られたテロワール・コンポストを必要最小限使用。ほとんど必要になる事はないのだそう。
『特に乾燥するこの地域では下草を残し、表土を乾燥から守る必要がある。土壌の水分蒸発を防ぐと同時に、自然界の菌類を増幅させ、微生物を増やします』
植物やワインに大きな影響を与える、もう1つの重要な要素が地磁気です。地球が持つ磁場、太陽の影響による地磁気線(カリーライン)の影響を避ける事が重要と考えています。
『醸造所と熟成庫は地磁気の悪い影響を受けない位置に設置され、畑で使う収穫用のハサミには磁石が取り付けられ、地磁気の悪い影響から守っています』
地球内部の核の対流運動、太陽との関わりで地磁気は発生しますが、より自然に近いナチュラルワインは、この地磁気の影響を受けやすいと考えられているのです。
❖水中で熟成❖
温度管理なしで野生酵母での醗酵が終わると、マロラクティック発酵に移り、1度移し替えを行って1年熟成。その後、無濾過、無清澄、酸化防止剤無添加で陶器ボトルに詰められます。
『光はワイン内の熟成する為の成分を分解してしまう力があるので、光を通さない素材でワインに何も与えない、しかも自然素材のものとして陶器ボトルを採用』
1,200度以上の高温で焼かれた陶器ボトルは目が細かく酸素透過率も低く、光も通さないので生きているワインが適度な呼吸をしながらの熟成を可能にします。
『陶器に詰めたら醸造所の地下のプールに沈めて水の中で5年以上熟成させる。塩素化されていない水で磁気処理をしており、ワインにとって最高の環境』
地下にある水中は年間を通して、緩やかな温度変化があり、光や振動、地磁気の影響も受けないワインにとって理想的な環境なのです。
❖シャンパーニュと同じ土壌❖
トン・リンバウの畑はペネデスのヴィロビ村周辺に5ヶ所に分かれて点在しています。全て耕作放棄された畑を買い取ったもので、古い葡萄樹が残されていました。
『土壌はピエトラと呼ばれるシャンパーニュと同じチョーク質を下層に持ち、表土は粘土と砂の混合土壌。15m下のチョーク層まで根を伸ばしている古樹が重要』
このピエトラ主体の土壌に植えられたチャレッロは強い塩味を感じさせる程強いミネラルを吸い上げ、ワインになっても果実よりも土地の個性を強く主張します。
『痩せた土壌で育ったチャレッロは果実が小さく果皮が厚い。アロマティックではなくストラクチャーとテンションのあるワインを造る事ができ、土地の個性の媒介者となる』
トンの畑のチャレッロは1つの樹から2~3房しか収穫されず、しかも乾燥、痩せた土壌の影響で房が小さい。こんな特殊な葡萄だけにワインは非常に強く凝縮しています。