こんなワインです
70%メルロー、20%カベルネ・ソーヴィニヨン、10%カベルネ・フラン。ビオロジックで管理された9haの区画で、土壌は粘土石灰質が主体。収穫は手作業で丁寧に行い、発酵前に葡萄が酸化しないよう細心の注意が払われる。100%除梗。穏やかなルモンタージュを行いながら野生酵母のみで発酵。醸し期間は2~4週間。温度管理は自動で28~33℃に保たれる。12ヶ月間タンクで熟成してから瓶詰め。
シャトー・ル・ピュイのワイン
WINERY
生産者情報
ル・ピュイ
●400年農薬の使われていない畑●
400年続くボルドーのビオディナミワイナリー。生態系が保たれた畑で独自のビオディナミ農法を続ける。バルテルミは希少なSO2無添加キュヴェ。
完璧な生態系が葡萄樹を守る
『生物多様性が重要。森を残し生態系を整えるようにしている。有機栽培を持続させる為に』
現在ル・ピュイの敷地は60ha。その内、葡萄を植えているのは38haのみ。残る敷地には森や沼をそのまま残していて、広大な土地で馬や牛が草を食んでいる。
『葡萄畑の周囲の生態系を保てば蜂が受粉を手伝い、そこに住む動植物やミミズが土壌を活性化する。葡萄は自然と共存する』

葡萄樹が蜘蛛に襲われることもある。しばらくすれば蜘蛛の天敵の昆虫がやってきて退治してくれる。この時、蜘蛛を化学で排除すれば蜘蛛が食べるアブラムシに葡萄樹は害を受ける。自然が解決することに人間が手を出してはいけない。
『400年間無農薬だからこそ自然の中で生態系のバランスが取れている』
醸造所の隣にわずかに畝の形が残る場所がある。数年前まで「エミリアン」の葡萄樹があった場所。
『葡萄を植えた事で全体の生態系バランスが崩れてきた事に気付き、去年葡萄樹を引き抜いた』
フラッグ・シップの葡萄樹を引き抜いてしまう程生態系を重視している。
微生物の唾液が重要
『テロワールのを味わいに表現できるのは、土中にいる微生物の唾液のお陰だ』
ル・ピュイの畑には1立方メートル当たり2億5,000万匹の微生物が住んでいる。目には見えないが、まとめると約150グラム。微生物は葡萄の根に張り付き、樹液の中の糖分を吸い上げる。その後、彼らが吐き出す酸性の唾液が土中のカルシウムを溶かす事で土中にミネラルが豊かに含まれる様になる。
『ミネラルこそが土地の個性。昔はラトゥールもラフィットにもミネラルがあった。土が生きていた。今のボルドーに鉄やマグネシウムを感じることはない』
現当主アモロー氏によると土中のミネラルを葡萄樹が吸い上げる事こそがテロワールを葡萄に蓄える事になるのだと言う。
『土中の微生物が欠かせない。一度でも除草剤や化学薬品を使えば微生物は激減してしまう』
必然的にテロワールを表したワインは造れなくなると考えている。

完全酸化防止剤無添加
ル・ピュイではワインに余計な樽の要素を残さない為、全て3年から15年の古樽を使用。 醸造過程において補糖、人口酵母の添加、濾過・清澄は一切行わない。1994年からは息子のパスカルと共にSO2無添加 のキュヴェ「バルテルミ」と「マリー・セシル」を造っている。
『他のキュヴェでは気化させたSO2を通常の造り手の1/10程度だけ使用している』
バルテルミは最初に酸化防止剤の使用を自問した9代目の名にちなんでいる赤ワイン。マリー・セシルはセミヨン100%。収穫後、古樽で発酵及び熟成を行いバルテルミと同じくSO2を一切使わずに仕上げている。どのキュヴェも瓶詰は月の動きに注意し、満月から徐々に欠けていく間に行われる。
『畑を買い足し、土壌改善に取り組んでいる。この新しい畑の若い樹からデュック・デ・ノーヴというセカンドワインを始めた』
年々、彼等のワインらしい繊細さが増していて2011年はエミリアンと間違えるような完成度。
『現在、ル・ピュイの畑を独立したAOCとして認可を受けるべく活動している。もし、認可された場合にはボルドーで唯一のモノポールとなる』

※名称変更について※
以前までは「シャトー・ル・ピュイ」の名称を使用していましたが、AOCを外れたことで「Château」の呼称が法的に使えなくなり、現在は 「Le Puy(ル・ピュイ)」 としてブランド展開しています。
