カトリーヌ・エ・ピエール・ブルトン
●ロワールの自然農法はここから始まった●
マルセル・ラピエールに影響を受け、80年代よりビオロジックを導入。青さのないカベルネ・フラン。セニエによる「ア ヴィ・ド・ヴァン・フォール」やセミ・マセラシオン・カルボニックの「トリンチ」でこのブルグイユを変えた。
ロワール自然農法の父
「ピエール・ブルトン」は大学卒業後、1985 年に地元ブルグイユにドメーヌを設立。妻の「カトリーヌ」と 2 人で運営している。設立当初は化学薬品の最盛期であり、政府や大学も薬品を推奨していた。
『そんな時、マルセル・ラピエールに出会った。マルセルのワイン造りは何もかも違った。栽培も醸造も。そして思想も。勿論ワインも』
当時のブルグイユは農薬使用が当たり前の大量生産の産地だった。勿論、有機栽培の導入は皆反対したが、「ピエール」に迷いはなかった。1994 年にはエコセールの認証を取得。畑で使用す るのは基本的にコンポストのみ。化学肥料や除草剤は一切使用しない。
『ロワールは湿気が多いので他の産地以上に葡萄樹を観察し、自然の声に耳を傾けなければならない。葡萄樹と共に経験することが重要』
葡萄の樹勢は地形を考えながら除葉で光合成の量を調整することでコントロール。 夏場には雑草を畑に残し地中の水分量を適正に保っている。1990 年ビオディナミ移行を完了した。
『土壌はどこにでもある。必要なのは活性化した土壌だ。農薬で微生物を殺してはいけない。微生物や増え、ミミズが空気と窒素を運び、下草が発酵し土に戻る。活性化した自然の循環だ』
活性化した土壌に育つ葡萄でなければ区画の特徴をワインに表現することはできない。
早飲みと長熟、2つのブルグイユ
ブルグイユはロワール川に沿って段になったテラスが存在する。この地域は 100 万年前までは海の底だった。その後中央山脈が隆起したことで海が引き大地となった。そのなごりがテラスになっている。ロワール川近くは砂が多過ぎて葡萄には適さず、主にイチゴやアスパラガス等を栽培。ロワール川から 35~50m程内陸に入った第 1 テラスからが葡萄畑。第1テラスは白亜紀セノマニアンの堆積土でシレックスを含む砂利と砂が特徴。
『地表のシレックスや石が日中の熱を吸収し、夜間も畑を温暖に保つ。晩熟のカベルネ・フランでも完熟する。軽やかさが特徴なのでセニエやマセラシオン・カルボニックで醸すトリンチなど気軽に楽しむことができるドリンカブルなワインを造る』
更に内側の第 2 テラスはやや年代の若い白亜紀チューロニアン期の粘土石灰質。
『熟すのに時間が必要。豊富なタンニンを持ち色調も濃いものとなる。70 年程度の古樹が多いのでクロ・セネシャルのような堅固な骨格を持ち、長期熟成が可能なワインを造っている』
カベルネ・フランは青くない!!!
カベルネ・フランの特徴は青さではない。これは大量生産の生産者の収量の多さがもたらす誤ったイメージなのだ。カベルネ・フランが苦手な方も「ピエール」の造る軽やかカベルネ・フランをぜひ試して下さい!
■トリンチ
「トリンチ」は船乗りの乾杯を意味する方言。ゴクゴク 飲めてしまう楽しいワインを造りたかった。
■アヴィ・ド・ヴァン・フォール
「アヴィ・ド・ヴァン・フォール」は出港禁止を意味する。 船乗りがしけで海に出られないから朝から飲んじゃう 時に飲みたいセニエの軽やかなワイン。
⇒"Catherine et Pierre Breton" ワイナリーWebsiteはこちらから!