ラ・カウドリーナ

●本物のモスカート・ダスティは「ピュア」●

世界的にも稀な微発泡甘口ワイン「モスカート・ダスティ」の最も模範的な造り手と言われる「ラ・カウドリーナ」。桃のような特徴的な香と葡萄果実由来の爽やかな甘み、酸味が飲み飽きさせない。

 

モスカートの第一人者

当主「ロマーノ・ドリオッティ」は高品質モスカート・ダスティを造り始めた最初の造り手と言われる。それ以前のモスカート・ダスティは大手企業やコーペ ラティブによるもので量産ワインであった。品質重視のモスカート・ダスティは存在しなかった。

『本物のモスカート・ダスティはピュア。果実由来の甘みと酸味がバランスし飲み飽きない。甘いだけのモスカート・ダスティは単純でつまらない』

醸造所はバルバレスコの北東2つの丘を越えたカスティリオーネ・ティネッラに位置。所有畑は25haで醸造所周辺に20ha。残りはニッツァ・モンフェラートで、バルベーラが植えられている。

『土壌は石灰を多く含む泥灰粘土質でタナロ川に向かう北西斜面が主体。よって葡萄の糖度が上がっても酸が落ちない。香もフレッシュさを失わない』

北、西、南斜面の色々な条件のモスカートをアッサンブラージュすることで糖と酸のバランスをとることが大切。他のワインのように発酵による味わいの変化は少ないのでモストで品質が全て決まってしまう。

『樹齢は30年~50年とモスカートとしては異例の高さ。通常は収量を得るために10年で植え替えられてしまうことがほとんど』

モスカート・ダスティのアルコールは5%。葡萄果汁の糖分と酸がそのままワインに残っている珍しいワイン。砂糖の甘みではない天然の葡萄の甘みと発酵由来ではない天然の酸味が味わえる。

 

葡萄由来の甘みを残す

ワイン造りはシンプル。モストの時点でワインの品質はほぼ決まってしまうので正しいタイミングで収穫し、糖度と酸度を確保する。収穫は手作業で酸化を防ぎ、1日低い温度で落ち着かせてから圧搾。その後、珪藻土のフィルターで固形物を取り除き、モストをアッサンブラージュして味わいのバランスをとって発酵開始。

『低温で1日置くことで酸化せずに汚れや虫を除去する。珪藻土のフィルターは重要。モストにバクテリアがいると発酵中でもワインは劣化してしまう』

18℃の低温発酵。モスカート・ダスティはアルコール 5%、アスティ・スプマンテは 7.5%まで上がった段階で冷却して発酵を止める。亜硫酸等は使わずに一気に5度まで冷却して止める。

『アルコール発酵を冷却して強制的に止めてフィルタ ーにかけて酵母を除去して瓶詰め。砂糖も何も加えない。発酵期間2週間だからフレッシュ』

モスカート・ダスティ造りには「正確性」が求められる。天然の糖度と酸度のバランス。発酵のコントロール。 そして天然の糖分があっても再発酵したりしないようにする完璧な技術が必要。

『アルコールが低く、天然の糖分があるのでフィルターは必須だが、工業的薄膜フィルターは香や味わいの要素も除去してしまう。最低限が重要』

過度なフィルターは避け、酵母とバクテリア、澱のみを除去する最低限のフィルターでフレッシュの白桃のような香や活き活きした果実を残している。

 

太陽の恵みがモスカート

■モスカート・ダスティ・カウドリーナ:モスカート・ダスティは2種類。合計11haの色々な畑のモスカート・ビアンコをアッサンブラージュするのが「モスカート・ダスティ・カウドリーナ」。平均樹齢は38年でフレッシュな典型的スタイル。

■モスカート・ダスティ・ラ・ガレイサ:1970年に植樹された最も古い単一畑「ラ・ガレイザ」 は3.5haの急斜面の南西向き斜面

『圧倒的凝縮度とモスカートとしては異例の骨格。果実のリッチさに芯の通った勢いのある酸が味わいを多層的に感じさせる』

■アスティ・スプマンテ:1975 年植樹の畑。モスカート・ダスティと同じように収穫、発酵。アルコールは7.5%まで上げるので糖度は低く、食前にも楽しめる。

『アルコールは7%でガス圧は5.7バールとモスカート・ダスティ(2.5 バール)より強め。ラベルデザインは友人だった故ロマーノ・レヴィ

■バルベーラ・フリッツァンテ・グエリエッラ:祖父の時代のバルベーラを復活させた微発泡バルベーラ。アウトクラーヴェで6日間の短期マセラシオンで発酵。ガスを残した状態でボトリング。どのキュヴェも醸造はシンプルで樽熟成などの2次的要因で得る味わいはなく、太陽が育てた葡萄そのものの味が楽しめる。