シャトー・ローザン・セグラ

・ローザン・セグラのもう一つのセカンドワイン・

一市場、一社のセカンドワイン戦略の例外的措置により、特別に生産されるパッケージ。ワインは一般的セカンドワイン、セグラと同じでありながら異なる価格。

 

モデルケースとなりうる戦略

メドックのほんどの格付けシャトーはセカンドワインを生産し、グランヴァンと同様の経路で市場に流通しているが、シャトー・ローザン・セグラのセカンドワインは独自の戦略のもとに展開されている。

一般的にはセグラとして知られるローザン・セグラのセカンドワインは日本市場で一社のみが独占販売し、他国の市場でも同様の形態がとられている。ところが販売チャネルが異なるなどの場合にだけ例外的にもう一つのセカンドワインが別の一社から販売されるケースもある。それがラムルー。

サードワインやジェネリックワインなら独占販売も珍しくはないが著明格付けシャトーでこのような販売形態を展開するのは非常に珍しく、販路が限定されるデメリットが想定されるものの、安定的な供給と適正価格の維持が可能となる。

価格競争が激化する昨今の市場で、この戦略に注目するシャトーもあり、将来的なモデルケースとなりうる戦略となっている。

 

グランヴァンを意識したワイン造り

1級に限りなく近い2級と評されるシャトー・ローザン・セグラのセカンドワインは、樹齢が進めばグランヴァンとなる5年から15年の若樹が主体で区画はグランヴァンと同じ。

区画、醸造、栽培において明確な規定のない左岸のセカンドワイン造りはシャトーによって異なる。例えばシャトー・ラトゥールは畑の中でグランヴァンとセカンドの区画をきっちりと分けている。

シャトー・レオヴィル・ラス・カーズにいたっては畑自体がグランヴァンから離れ、セカンドワイン専用の異なるテロワールの畑で栽培が行われ、収穫時期が異なることもあれば、醸造については最初から異なる行程で進められる。

ローザン・セグラでは、“グランヴァンをイメーできるように”と、一部の樹齢の違いによる最初の区画分けした分(若木を植えたセカンド用の区画と樹齢を重ねたグランヴァン用の古樹)以外は同じ区画の葡萄を使い、同じマセラシオン、熟成の段階の中で徐々に分けられてゆく。(役目を終えた古樹を抜き、そこの若樹を植え替えてゆく)。

最初に区分けした分などで新樽比率と最終的なアッサンブラージュの違いはあるものの、主体なるカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローの比率に大きな違いが出ることはあまりなく、ローザン・セグラの凝縮間、エレガントで繊細な飲み口はラムルーと共通の個性といえる。

 

ビオディナミへのアプローチ

現在シャトーでは試験的にビオディナミのアプローチを始めている。シャトー・ラトゥールの社長を務め、シャネルの傘下に入ると同時に社長に就任したジョン・コラサ氏の指揮のもと、当時ボルドーではだれも考えなかったビオディナミに興味を持ち、圧倒的な資金力を注ぎ醸造設備を一新し、飛躍的な技術発展を遂げながら着々とビオディナミへの準備を進めてきた。

それにより栽培される葡萄の一部はグランヴァンの使われるのみだが、ごく近い将来、その比率は上がり、やがてこのラムルーにも使われる予定とのこと。マルゴーの中でも特に優れたテロワールを持つローザン・セグラはその優位性を更なる発展に繋げるべく進化中である。