シャトー・サンタンヌ

●バンドール『ヴァン・ナチュール』はここから始まった●

60年代よりヴァン・ナチュールの提唱者であるジュール・ショヴェに師事し、マルセル・ラピエールやピエール・オヴェ ルノワで自然農法を学んだ。エレガントでフィネスに富んだバンドール。

 

70年代ラピエールと共に活動

フランスの「ヴァン・ナチュール」の歴史をさかのぼる と最終的に辿り着くのが「シャトー・サンタンヌ」。彼等 の歴史は 16 世紀にまでさかのぼる。 5 代目の「フランソワ」と「マルキ・デュテュイル・ラ・ロ シェール」夫婦が「ジュール・ショヴェ」に学んだのは 70 年代のこと。 当時は政府も農薬を推奨していて農薬に疑問を持 つ人はいなかった。

『農薬によって飛躍的に農業の生産性が上がった時 代。ジュール・ショヴェに賛同していたのはピエール・ オヴェルノワ、マルセル・ラピエールだけだった』

彼等はマルセルの家に集い自然なワイン造りへの回 帰を実践する為に意見を交わし合った。

『ジュール・ショヴェは微生物学者だった。化学で微 生物が死滅することを良しとしなかった。醸造自体 は 60 年代に農民が普通に行っていたもの』

「デュテュイル家」と「ラピエール家」は以降 35 年以 上の長い付き合いとなった。「ヴァン・ナチュール」は まさにここから始まった。

『僕等の畑では 60 年代から除草剤や化学肥料が 使われた事は無い。それが普通だった』

彼等にとって自然農法は難しい事ではなく日常。葡 萄樹を観察し、尊重していくだけ。病気や害虫を受け 入れ、正しく処置していくことで被害は最小限に。葡 萄樹は人間と同じように環境に順応していく。 畑で使用されるのは、うどんこ病対策のボルドー液と 硫黄のみ。

 

ムールヴェードルの最適地

地中海岸沿いから内陸に向けて続くAOC「バンドー ル」の村の中でも「シャトー・サンタンヌ」が位置するの は内陸寄りの「エヴノ村」。 「バンドール」で最も冷涼な地域。石灰質の層に帯状 に砂が混ざる痩せた土壌は非常に水はけが良く、葡 萄栽培に適している。

『400mを超す岩山に囲まれていて微気候が形成さ れる。この微気候が暑さから葡萄を守り、ゆっくりと 時間をかけて成熟する』

この環境は「バンドール」の主要品種である「ムール ヴェードル」の栽培に最適。「ムールヴェードル」の収 穫は通常は 9 月に行われるが彼等の畑は 10 月中 旬に収穫される。 品種由来の強いタンニンは収穫期が遅いと成熟し甘 さを感じさせる。収穫が早いと青いタンニンが残り、ワ インはアグレッシヴなタンニンに支配されてしまう。

最も繊細なバンドール

「ジュール・ショヴェ」の弟子の 1 人である「ジャック・ ネオポール」は「シャトー・サンタンヌ」を「バンドール」 の中で最もフィネスがあると評した。 バンドールはアルコール度数が 15%を超えることが 多い。彼等のワインは常に 13%前後と低めのアルコ ール度数。

『葡萄を必要以上に過熟させない。醸造中も無理な 抽出はしない。バンドールというより自分達の土地 の味わいを目指している』

醸造設備は最低限のもの。発酵は樹脂製タンク及び ステンレスタンクで自然酵母のみで行われる。温度コ ントロールの設備は無い。 近年 6 代目にあたる若い「ジャン・バティスト」が醸造 を担当するようになったが醸造方法は 40 年前と全く 変わっていない。