シャトー・ラ・バロンヌ

・『樹齢120年』のカリニャンは繊細・

コルビエールの自然を活かしたワイン造り。ブルゴーニュやボルドーのような人気産地では決してできない自給自足 型の完全ビオディナミ栽培を目指す。アンフォラでの醸造にも挑戦。

 

フランスで最も強い風

ラングドックの西端に位置するAOC「コルビエール」。 「シャトー・ラ・バロンヌ」の畑は森に囲まれた荒地で 自然と共存している。 地中海式気候と大西洋式気候の 2 つの影響を受け る地域。近くにそびえるのは石灰岩で形成された標 高 600mのアラリック山。

『地中海からくる暖風はアラリック山を越える時に 冷やされ、葡萄畑に吹き下ろす。この強風が気温を 下げ、湿気を取り除く。理想的だ』

年間を通じて強い北風が吹く、葡萄樹は風に耐えき れずに南側に倒れるように斜めに伸びている。それ ほどまでに強い風にさらされている。 またアラリック山の石灰質土壌は柔らかいので雨を 吸い蓄える。これが乾燥による水不足から葡萄樹を 守ってくれる。

『自然の循環が大切。森や風が葡萄樹を外敵から 守ってくれる。葡萄畑が密集するブルゴーニュやボ ルドーにはない環境』

化学薬品が使われた事の無い畑。2013 年からはビ オディナミも導入している。 オーストリアの「マインクラング」に大きな影響を受け ていてテロワールを素直に表す為にクローンは勿論、 調剤、樽材、アンフォラに至るまでワインに触る全て のものをその土地のものにすべきと考えている。

『堆肥も畑で3年かけて手造り。501調剤も畑に埋 めて熟成させる。そしてアンフォラも地元の粘土で 作成している』

ワイナリーも土地の石と木で造られていて、接着剤 等の薬品は使われていない。

 

1892年植樹のカリニャン

「シャトー・ラ・バロンヌ」が誇るのは醸造所であるシャ トーの隣にある樹齢 120 年のカリニャンの区画。 フィロキセラ被害直後の 1892 年に植樹され、現在 でも熟度の高い凝縮した葡萄をつける。 仕立てはラングドック特有の「ゴブレ」。ブルゴーニュ の「ゴブレ」と違い、枝が広がらないように中心に集 められているのが特徴。

『樹齢 120 年のカリニャンは収量制限をせずとも収 量が落ちる。幹中の水管が細いので水分も少なく 小粒な葡萄をつける。貴婦人のよう』

この区画のカリニャンだけで造られるのが「ピエス・ド・ ロッシュ」。圧倒的な緻密さ。口中でどんどん変化す る。AOCではカリニャン単一品種での醸造は認めら れていないのでIGPに格下げされてしまう。

『1985 年にAOCコルビエールが制定された。AO C委員会はカリニャンを高貴ではないと判断。その 為、多くの造り手がカリニャンを引き抜いた』

「カリニャン」は樹勢が強いので水管が細くなる位に 高い樹齢でないと単純なワインになってしまう。

 

ブルーノ・デュシェン

『ワイン造りは料理と同じ。異なる醸造のワインをア ッサンブラージュするのは料理のスパイス。ワインは 味わいに幅が出る』

醸造に使用するのはステンレスタンク、セメントタンク 木樽、アンフォラと幅広い。天然酵母のみを使い、 材質の異なる容器で発酵・熟成されたワインは瓶詰 め前にアッサンブラージュされる。 同じ葡萄でも異なる容器で熟成を行えば全く違った ワインが産まれる。温度の上がり方や酵母の活動、 酸素量の違いは自然なワイン造りでは重要。

『僕等が今、最も好んでいるのはアンフォラを使った 醸造。2014 年からは畑の粘土を使って素焼きした アンフォラで醸造を開始した』

畑の土壌と太陽から生まれた葡萄を同じ畑の粘土 を焼き、太陽で乾かしたアンフォラの中に戻してあげ る。そこで葡萄はワインに生まれ変わる。 赤も白もシュール・リーの状態で発酵・熟成させるが 他の容器と比べると、より香り高く、しなやかな口当 たりに仕上がる。 2014 年 の 「 Le Guide des meilleur vins de France」でコルビエール唯一の 2 つ星に昇格。

『日本ではブルーノ・デュシェンと一緒に醸したワイ ンが人気になった。葡萄は全て彼等の畑。そして醸 造も基本的に彼等が行っている』