ジュゼッペ・マスカレッロ

●古典的バローロの代表格●

バローロの歴史上、絶対無視できない重要な造り手の1人。醸造所がバローロ・エリア外のモンキエロに位置するこ とが例外的に許されている唯一の造り手。

 

バローロの生きる歴史

伝統的なバローロと言えば必ず名前の挙がる造り手 「ジュゼッペ・マスカレッロ」。彼等のワインは他のどの 造り手のワインとも違う。 1881 年、初代「ジュゼッペ・マスカレッロ」がモンフォ ルテ・ダルバで葡萄栽培農家を始めたのが始まり。

『1904 年に初代の息子ムリッツィオがモンプリヴァ ートを購入した。この畑のポテンシャルを知っていた が、彼の重要な葡萄はバルベーラだった』

1919 年には「モンキエロ」の製氷所だった建物を購 入、カンティーナに改装した。氷を貯蔵する倉庫だ ったので温度が低く保たれている。この温度の低さも 彼等のワインに影響を与えている。

『バローロの造り手はバローロのエリア内で醸造をし なくてはいけないという法律だが僕等は例外として モンキエロでの醸造を許されている』

1921 年、「モンプリヴァート」にネッビオーロ「ミケ」が 植樹され、この畑はバローロを代表する畑として神 格化されていった。 1967 年、現当主「マウロ・マスカレッロ」が引き継い だ。現在、妻の「マリア・テレザ」、息子の「ジュゼッ ペ」と共にワイン造りを行っている。

 

伝統に回帰した90年代

「マウロ・マスカレッロ」は伝統的「ジュゼッペ・マスカレ ッロ」の歴史を次々に改革していった。 1970年から畑毎の個性を重視し、アッサンブラージ ュを止め、単一畑の醸造を始める。 1980 年代はマセラシオンを 30 日まで短くし、ポンピ ング・オーバーを強めに行っていた。若いワインは良 かったが熟成による深みに満足できなかった。

『1990 年代に入ると先代と同じ 60 日の長期マセ ラシオンに変更。ポンピング・オーバーを止めピシャ ージュに戻した』

彼等のワインの最大の特徴である淡い色調は低い 温度のカンティーナで、あまり果実を動かさずに発 酵することで実現している。 果皮を必要最低限動かすことでバクテリアの繁殖を 防ぎながら、低めの温度でゆっくり発酵する。これで 過度な果皮からの抽出が起こらない。 発酵後半、温度上昇と共に色素は抽出され一瞬色 調は濃くなるが、すぐに色素は落ちていく。

『果皮を動かさないのでタンニン量は少なく良質の タンニンだけが残る。樽からのタンニンも無い。よっ て色素は安定せず落ちていく』

彼等にとって重要なのは色調ではなく、質の高いタ ンニンのみを残すこと。

 

1666年から残る畑

彼等の周遊畑は歴史的に見ても重要な畑ばかりだ が、やはり最も重要な畑は 1904 年に取得した「モン プリヴァート」。標高 280m の南西向き斜面に広がる モノポール。 凝灰質、泥灰質土壌に強い石灰質が含まれる。極 端に痩せた土壌は表土が白い。 1 つ北のカヴァロットが周遊する「ブリッコ・ボスキス」 はグレーがかった表土なので全く違う。

『1666 年、既にモンプリヴァートは偉大な畑として 認定されていた。バローロの歴史上最も古い畑の 1 つであり、バローロの典型』

「モンプリヴァート」は色々なクローンのネッビオーロが 栽培されているが、毎年良い葡萄を付ける樹にリボ ンを結んでいき最良の樹を選んでいる。

『リボンの付いた良い樹だけで造ったワインがカ・デ ィ・モリッシオ。骨格の大きさ、味わいの凝縮度。何 をとっても 1 つ上のレベル』