アンベール・フレール

●『デュガ家』最後の大物●

ベルナール・デュガ・ピュイとクロード・デュガの従兄。ベタンヌ・ドゥソーヴ誌では、ドゥニ・モルテに並ぶジュヴレ・シャン ベルタン最高評価を獲得している隠れた銘酒。

 

第3のデュガ

ブルゴーニュを代表する一族、デュガ家。共通の哲 学を持ちながら個性的なワインを造る彼等。 あまりに小さいのでブルゴーニュ以外では知られてい ないデュガ一族が「アンベール・フレール」。当主は 4 代目の「エマニュエル」と「フレデリック」。

『母親はデュガ家の出身。ベルナール・デュガ・ピュイ とクロード・デュガは従兄にあたる』

所有畑が 7ha と小さく、そのほとんどがフランス国内 での販売なので日本では無名の造り手。 母親の結婚もあってデュガの名がエチケットから消え たこともあって、従兄達ほどに知られてはいないが隠 れた第 3 のデュガとしてフランス国内のソムリエから 絶大な人気となっている。 ジュヴレ村の裏手に続くラヴォー渓谷沿いにドメーヌ を構え「シャルム・シャンベルタン」や 1 級畑「クレピ ヨ」等デュガ家と共通の優良畑を所有している。

『ワインのスタイルはデュガ家と似ているかもしれな いが、畑の位置の関係上、よりエレガントでなめらか な味わいになっていると思う』

フィリップ・シャルロパンやドゥニ・モルテとも交流が深 く、彼等と共に日々品質の向上を目指している。

摘芯・摘果による厳しい収量制限

1989 年にドメーヌを引き継いだ「エマニュエル」と「フレデリック」が取り組むのは徹底した収量制限と有機 農法による自然な栽培。 除草剤や化学肥料は一切使用せずに梳き入れを行 う事で畑の状態を健全に保っている。

『僕等の最も重要なポイントは摘芯・摘果を通じて厳 格な収量制限を行っていること』

葡萄は極限まで収量を落とし、粒も小さく水分量が 少ない。ピノ・ファンのような小粒な葡萄が彼等の大 きな特徴。 醸造面では 3~6 日間の低温浸漬。過度なタンニン の抽出を避ける為に葡萄をなるべく動かさずに発酵。 抽出期間は短め。その年の果皮の硬さによって決定 する。基本的にはピジャージュは行わずに、できるだ け長く発酵期間をとる。 清澄や濾過は行わず、月の満ち欠けにより、状態が 安定したタイミングでボトリング。

『収量を抑えて葡萄の状態が良ければ抽出を強くす る必要はない。質の高いタンニンを少しと酸があれ ばワインはバランスする』

ベタンヌ・ドゥソーヴで4つ星評価

La Revue du Vins de France での評価も高い。

『凄いジュヴレ・シャンベルタンと出会った。荒削りだ ったワインは年々進化している。今ではバランスが 良く、調和に富んだワインになった』

大柄で太った「エマニュエル」と「フレデリック」兄弟。 醸造所もボトルや工具が散らばり乱雑。でも、ワイン は外見とは正反対の綺麗な調和の中にある。 ここ数年、フランスのジャーナリストの間でも「アンベール・フレール」の評価は高くジュヴレ・シャンベルタンの偉大な生産者の仲間入りをしたと言われる。 2015 年のベタンヌ・ドゥソーヴでは「ジョルジュ・ルーミ エ」や「ドゥニ・モルテ」と同評価の 4 ッ星を獲得。

『最高評価の 5 ッ星は D.R.C 等 6 軒だけ。その次の 評価である 4 ッ星を獲得できた。デュガ家で一番の ワインを造っているつもりだ』