ユレ・フレール

 

リュード村でビオディナミを導入、ブルゴーニュ的シャンパーニュ

シャンパーニュ・フルーリー、ドメーヌ・モンティーユで学びビオディナミを導入
4エレマンは①単一品種②単一畑③単一ヴィンテージ④1人の造り手を意味します

 

❖フルーリーに学んだ

『レヴュードヴァンフランスでは注目の若手と絶賛。シャンシス・ロビンソンはリュードのテロワール表現者と評し、ベッキー・ワッサーマンもブルゴーニュ的と絶賛』
若手が台頭するシャンパーニュに、また1人素晴らしい醸造家が誕生しました。フランソワ・ユレ。リュード村に3代続く、ユレ・フレールの当主兼醸造家です。1960年にジョルジュ・ユレが葡萄栽培農家として独立。1971年に息子、ジャンマリーに引き継いだ際にユレ・フレールとしてワイン醸造を開始します。
『2008年、フランソワ・ユレが引き継ぎ、一気に品質を高めていきます。一切の農薬を禁止し、自然農法に切り替えた事でワインはエネルギッシュに変わっていきます』
フランソワはディジョン大学で醸造学を学び、ディプロマを取得。その後、オスピス・ド・ボーヌ、ドメーヌ・モンティーユの下で働き、経験を積んでいきます。
『シャプティエで畑作業を学び、シャンパーニュ・フルーリーでジャン・ピエールと共にビオディナミを導入し、経験を深めた事で自然農法の重要性を理解した』
その後、オーストラリア、ニュージーランドの新しいワイン造りも経験し、見識を深めていきます。自然な葡萄栽培と科学的なワイン醸造をどちらも理解しているのがフランソワの強みです。
『フランスのワイン造りの伝統とビオディナミの重要性。更に新世界の効率的で科学的なワイン醸造へのアプローチ。どちらも理解する事で初めてワイン造りが理解できた』
2003年にワイナリーに戻り、父親の下で働き始めます。すぐにフルーリーとシャプティエで学んだビオディナミを一部導入し、化学薬品の一切を使用不可とします。
『自家製コンポストのみ使用。下草を残し、年に2回だけの耕作。森を残し、葡萄以外の植物、昆虫と共存できる自然環境を作り、生物多様性を出来る限り維持する』
醸造で何かを足しても、葡萄の品質以上のワインは造れないと考えていて、葡萄の品質を高めるには土壌の改善が最重要というのがフランソワの考え方。
『シャンパーニュの伝統を続けていく為に、持続可能な農業が必要。周囲の自然環境と共存し、土壌内の微生物を活性化し、テロワールを守る責任が農家にはあるのです』
畑を兄弟で分割して所有している関係で他社からの葡萄は購入せず、自分達の葡萄だけでワインを造っているが、分類上ネゴシャン・マニピュランになっています。


❖ブルゴーニュ的ワイン造り

本拠地はモンターニュ・ド・ランスで標高が最も高いリュード村(プルミエ・クリュ)。粘土石灰質でチョーク質が多めにある畑と砂質が強い畑が混在しています。
『粘土質や冷涼区画にはムニエ。石灰質が強い畑にはピノ・ノワールを豊かにしてくれる。砂質の畑のシャルドネは重過ぎず、ミネラルをワインに与えてくれる』
リュード村は畑の向き、土壌個性も様々なので畑の個性に合った品種に植え替えを行いました。更に畑毎、品種毎で収穫のタイミング、醸造方法も変える徹底ぶり。
『ブルゴーニュのモンティーユで畑毎の個性の表現を学んだ。畑の個性を最大化させるには、その畑に合った醸造が必要なのと、葡萄、モストを最高の状態でキープする事が重要』
畑毎に収穫タイミングを変え、区画毎にプレスして、区画毎に発酵させ、区画毎に熟成させる事で区画の個性を理解できる。モンティーユと同じ考え方。
『ブルゴーニュと同じように畑毎の個性、ヴィンテージの個性、品種の個性を表現するのが理想。シャンパーニュにもテロワールがあり、その表現こそがワインなのです』


❖4つの要素

『2014年から造り始めたのがキャトル・エレマン(4つの要素)というシャンパーニュ。①単一品種②単一畑③単一ヴィンテージ④1人の造り手を意味します』
キャトル・エレマンは、まさにブルゴーニュ的で、ビオディナミの導入で畑の個性=テロワールが最大化した事を感じたフランソワが最終的に辿り着いた理想のシャンパーニュなのです。
『より表現力を高める為、ビオディナミの畑のみで野生酵母のみで発酵。熟成時は王冠を使用せず、コルク栓を使い少しの酸化供給を行っている』
■キャトル・エレマン・ピノ・ムニエ
リュード村で1963年植樹のムニエ。古樹の単一畑ラ・グロッセ・ピエーレ。ムニエは樹齢が高ければピノ・ノワールに負けない個性を持つ。ノン・マロラクティック。
■キャトル・エレマン・ピノ・ノワール
リュード村にあるビオディナミの畑、ラ・ペルスのピノ・ノワール100%。粘土石灰質でチョーク質を多く含むので力強く構成力のあるワインに仕上がる。
■キャトル・エレマン・シャルドネ
リリー・ラ・モンターニュ村のレ・ブランシュ・ボワ畑のシャルドネ。モンターニュ・ド・ランスでは珍しい真南を向く斜面で1964年に石灰岩盤に直接植樹された畑。塩味が非常に強い。