コフェレルホーフ
イタリア最高峰のケルナーとシルヴァーナー
自分達のトラットリアで提供するワインだったが
2009年、ガンベロロッソ誌でイタリアNO.1白ワインに選ばれて、突然有名に
❖修道院のワイン❖
コフェレルホーフの歴史は古く、976年まで遡ります。この地の荘園として葡萄栽培を中心として野菜の栽培を手掛けていました。南チロルで最も古いワイナリーと言えます。
『地元でトラットリアの経営を始め、そこで提供するワインを初めてボトリングしたのが1995年。それまではイサルコの歴史的修道院アバッツィア・ディ・ノヴァチェッラに販売していた』
この地域の葡萄栽培農家は伝統的にアバッツィア・ディ・ノヴァチェッラに葡萄を販売してきました。現在も100軒を超える農家が葡萄を卸しています。
『ヴァッレ・イサルコのワインの流通は100年以上、アバッツィア・ディ・ノヴァチェッラによって行われてきたので、販売先がない個人の造り手は独立する事は不可能だった』
1940年、ケルシュバウマー家がコフェレルホーフを購入。葡萄栽培を引き継ぎますが、その葡萄の品質の高さに驚き、1995年、遂に修道院への販売を止め、自家ボトリングを開始。
『販売ルートは全く無かったが、自分達のトラットリアで提供したワインの評判が広まり、2009年にはガンベロロッソ誌でイタリア最高の白ワインに選出されて人気に』
今ではイタリア国内の星付きレストランへ直売する他、日本、アメリカ含め数ヶ国のみへ輸出をしていますが、生産量の半分は、今でも自分達のトラットリアで飲まれています。
『11haの葡萄畑はイタリア最北のヴァッレ・イサルコに位置。イタリアというよりオーストリアの文化が強く、ワイン造りもオーストリアの影響を強く受けている』
アルト・アディジェ最高のピノ・ビアンコはグンフォフが造り、最高のシルヴァーナーはクエンホフ。そして最高のケルナーはコフェレルホーフが造ると言われ、この3社は群を抜いています。
『生産量は4,000ケース/年ですが、市場に出るのは、僅かに2,000ケース。評価誌にも滅多に出る事もないので、そのワインをイタリアで手に入れる事はほとんど不可能』
❖厳しい自然環境に合う品種❖
ヴァッレ・イサルコはボルツァーノから北東に40km行ったノイシュティフト村にあります。アバッツィア・ディ・ノヴァチェッラまでは300m。葡萄にとって最高の土地に位置します。
『標高は650~900mで土壌は砂質、粘板岩、花崗岩がモザイク状に入り組むモレーン土壌。これは1億年前の氷河に由来するものです』
日照時間は多いのですが、陽光は弱い上に、夜間の温度は夏でも氷点下近くまで下がるので日中の暑い時間帯は僅か。葡萄は温暖化の今でも、ゆっくり成熟します。
『昼夜の寒暖差は35度にもなり、葡萄樹は適度なストレスを受けて、過熟になりません。また、冬が長いので、葡萄樹の生育スピードは遅く、成熟度は上がります』
ヴァッレ・イサルコのテロワールは他のイタリアのどの産地とも似ていません。冷涼な気候は石清水のようなピュアさを与え、モレーン土壌は余韻にミネラルを与えます。
『イサルコのテロワールは一般的には厳し過ぎるが、ケルナーやシルヴァーナー等、一部の品種にとって、この厳しさが品種の個性を引き出し、上のレベルに引き上げてくれる』
栽培される品種はグリューナ・フェルトリナー、リースリング、ミュラー・トゥルガウ等、果実やボリュームよりも地下の影響を表現する事ができる品種が選ばれる。
『このテロワールを活かす事ができる塔別な品種。そして、それを丁寧に栽培し、正しく醸造する事が非常に重要。造り手のエゴではなく、テロワールを尊重するのです』
❖シルヴァーナー・エッレ❖
シルヴァーナーは遅霜や寒さに弱いので、日照量の多い南向き斜面に植える事が絶対条件です。コフェレルホーフのシルヴァーナーは丘陵の中腹部の南向き斜面のみ。
『1985年に植樹した最も条件の良い真南を向く畑のシルヴァーナーはポテンシャルが高いのでシルヴァーナー・エッレが造られます。3回に分けて収穫する』
1回目の収穫で酸味とフレッシュさ、2回目の収穫でフルーツ。3回目の収穫で旨味と力強さを得る。ポテンシャルが高いので50%は伝統的アカシア樽で熟成。
『寒さに強いケルナーは丘陵下部の冷気がたまる場所を好む。生育が早いので酸度が落ちないうちに十分な成熟度を得る事ができるヴァッレ・イサルコの最適な品種』
1929年にドイツで黒葡萄のトロリンガーとリースリングを交配させて出来た品種。厳しい環境でないと平坦で単純なワインになるが、イサルコでは適度な厳しさを持ちミネラリーなワインに仕上がる。
『全てのワインはノン・マロラクティック。発行時期が既に寒いのと酸度が高いのでマロラクティックは基本的に起こらない。天然のリンゴ酸と揮発的な品種由来の香をワインに残す』
マロラクティック発酵を行うと総酸度は1/6まで減少してしまいます。イサルコの厳しい自然を感じるワインにする為、リンゴ酸の垂直性と品種由来の香は必須なのです。
『発酵は野生酵母のみでステンレスタンクで行います。熟成はフレッシュさを残す為に嫌気的なステンレスタンクを使うが、一部は伝統的なアカシア大樽を使用』
他の地域にはない、石清水にレモンを搾ったかのようなフレッシュさ、ピュアさ。山のミネラルは細かく、繊細で飲み疲れる事はなく、体に染み入るような美しさを感じるはずです。