レ・チンチョレ

●90%が有機栽培『パンツァーノ・イン・キャンティ』●

キャンティ・クラシコの中心地「パンツァーノ・イン・キャンティ」は地域全体で有機栽培への転換を進めてきた。今では 90%が有機栽培への転換を終えている。最も自然なキャンティ・クラシコ。

 

パンツァーノ・イン・キャンティ

「レ・チンチョレ」はキャンティ・クラシコの中心部「パン ツァーノ・イン・キャンティ」に位置。標高 450~470m に 13ha を所有している。

オーナーの「ルカ」「ヴァレリア」夫妻はこの地域の有 機栽培導入組合の会長を務めている。

『10 年以上かけて土壌を活性化した。牛糞と下草、 葡4/16」の絞り粕、豆類だけを使う。パンツァーノは世界 で一番安全なワイン産地になった』

「ヴァレリア」の先導で大手ワイナリーの所有畑以外、 ほとんどの畑がビオロジックに転換した。 「パンツァーノ」のワインの 90%は有機栽培された葡 萄で造られていることになる。

『有機栽培のワインが美味しい訳ではない。ただ、 高い意識でワイン造りに取り組んでいることは確か。 醸造はそれぞれの造り手の考え方』

彼等の畑はガレストロとは少し違う。畑のほとんどは石 灰を含む粘土質でガレストロよりも重い土壌。上部に は「シスト(片岩)」が露出している。

 

 

『シストは変成が進んだ土壌で無数の穴があり、水 はけが良い。空気を保有するので土と葡萄樹を暖め る効果がある。反対に粘土は水分を保有するので 葡萄樹を冷やす』

「ペトレスコ」はその年の一番良い区画の葡萄を使う が、ほぼ毎年最上部の「シスト」が強く出ている区画 の葡萄が使われている。

 

2年熟成自家製コンポスト

10 年以上、土壌を活性化する努力を続けてきた。 畑は年一回だけ下草が刈り込まれる。それ以外は基 本的には何もしない。耕しもしない。 空豆が窒素を地中に蓄えさせ、これでミミズが増える。 ミミズが窒素と地上の酸素との置換を行いながら、土 を耕してくれる。 土壌が疲れた場合のみ、ウムス(自家製の培養土) を畑に撒くが、これも数年に 1 回と少ない。

『市販品は何が入っているか分からないので培養土 も自家製。剪定した枝や葉に馬糞を少量加えて 2 年かけて発酵、熟成させたもの』

全ての畑は南西向き。上部にサンジョヴェーゼ。日 没時に一番先に日陰になる冷涼な畑にはカベルネ やシラーを植えている。 葡萄栽培は年々変化している。以前は生育に合わ せて葡萄樹を整形する、芽かき、除葉、グリーンハー ヴェストを行っていたが、全てを禁止した。

『春の摘芯もしない。新梢を伸ばし、上部に巻き込 んでおく。ツルの成長に栄養が使われるので房数が 減り、葉数が増えるので光合成が増える』

摘芯や芽かきをすることで生育を均一化できる。通 常の造り手は、そうすることで葡萄を均一に熟させよ うとするが、彼等は、それを良しとしない。均一化する とワインが単純になるとの考え。 更に、グリーンハーヴェストをするよりも少ない房数に なり、多くの栄養を蓄える。考え方は「ドメーヌ・ルロ ワ」と非常に近くて合理的。

 

野生酵母を活発化

発酵は野生酵母のみでゆっくり 4週間かけて行う。発 酵の初期段階が重要で、一気に進まず、ゆっくり進 むことで果皮から色々な要素が抽出される。

『野生酵母のみでの発酵は完璧な果実でないと不 可能。未熟な果実からは青いタンニンが出る。腐敗 果があればバクテリアが繁殖する』

野生酵母はゆっくり発酵が始まるのでアルコールの 発生や温度が上がるのが遅い。よってバクテリアが 繁殖するリスクがある。だから選果が重要。完璧な葡 萄のみを使う為、収穫は毎年同じスタッフで手摘み。 畑で選別、選果台で 2 度選別し、発酵槽投入前に 3 度目の選別が行われる。

『量を造る生産者は完璧な選別はできない。腐敗果 が入るので酸化防止剤を発酵前に入れてバクテリア を殺す。勿論、野生酵母も死滅してしまう』

彼等は発酵段階での酸化防止剤は使用しない。少 量生産だからできる 3 回の選別で完璧な葡萄だけを 野生酵母で発酵させる。 キャンティ・クラシコは大型のセメントタンクで発酵。大 容 量 の 発 酵 は セ メ ン ト タ ン ク で な い と 駄 目 。 ステンレスでは温度が早く上がって活躍する酵母の 種類が少なく、単純なワインになってしまう。

『カマライオーネは古バリックを立て、上蓋をはずして 発酵槽として利用している。空気を多く与えながら 完全発酵させることが目的』

今ではシエナの土を使った「アンフォラ」での発酵。 健全な果実を最大限活かす 300 日のマセラシオン にも挑戦している。

 

≪キャンティ味わい比較≫

彼等のワインは抽出が強くない。タンニンも酸も穏や かで調和のとれた味わいが特徴。突出した要素が強 く出て個性的なワインではない。 調和とバランス。丸く穏やかな大人のキェンティ・クラ シコ。食事と共にあるべきワイン。