ロッコロ・グラッシ

ヴァルポリチェッラの南、玄武岩の力強さ

畑毎の個性を活かす為に完璧な畑作り、葡萄作り、そして完璧な収穫のタイミングを追求。南ヴァルポリチェッラら
しい重厚なワインに仕上げている。 

ヴァルポリチェッラ新世代

1996 年に「グラッシ家」より葡萄畑を購入。長男で あり、醸造責任者の「マルコ」を中心に家族のみでワ イン造りを開始したのが「ロッコロ・グラッシ」。 10 以上の丘が東西に連なるヴァルポリチェッラにお いて東から 3 つ目の丘「メッツァーネ・ディ・ソット」に 畑を所有している。

『カ・ラ・ビオンダのマラーノはヴァルポリチェッラの北 西で石灰岩盤の上に畑がある。僕等のメッツァー ネ・ディ・ソットは南東部分に位置。粘土質が強い。 全く違う土壌』

彼等はこの土壌を活かして重厚かつ構成力のある ヴァルポリチェッラを造り一気に人気となった。 「カ・ラ・ビオンダ」とは友人でお互いのワインを毎年、 交換している仲。

畑毎の個性を活かす

彼等の大きな特徴がヴァルポリチェッラをアマローネ の 2nd ワインのような位置づけにせず、畑毎の個性 に合わせて「アマローネ」と「ヴァルポリチェッラ」を造 り分けている点。

『アマローネになる葡萄は酸度を持ちながら凝縮す ることが重要。ヴァルポリチェッラは完熟することが 重要。畑の個性に合わせて造り分ける』

■ヴァルポリチェッラ 「ヴァルポリチェッラ」が造られるのは「ヴァル・フレッ ダ畑」。その名の通り丘の上部に位置し、年間を通し て冷たい北風が吹き下ろす畑。 粘土を主体に砂質が比較的多く、石灰の含有率も 高め。

『砂質と石灰が強く出る土壌はコルヴィーナの栽培 に最適。フレッシュさを残しながら葡萄は完熟する。 コルヴィーナにとって完璧な畑』

雹害が多いのがこの畑の難点。雹害対策として葡 萄樹にネットを掛けている。 黒いネットは少しの斜陽効果もある。焼けやすいコル ヴィーナの果皮を守り、フレッシュさを残す。

■アマローネ 「アマローネ」が造られる畑が「サンブリッチョ」。畑の 裏には小さな休火山があり、土壌には火山由来の 玄武岩を多く含んでいる。

『この玄武岩は比較的新しく、マンガンを多く含む。 よって葡萄はミネラルを吸収する。土壌は痩せて水 分量が少ないので凝縮した葡萄が収穫できる。ま さにアマローネの為の畑』

平均樹齢は 20 年弱と高くない。しかし、痩せた土壌 の影響で凝縮した葡萄が収穫できている。

■ソアヴェ 「ソアヴェ」の畑はカンティーナ周辺に広がる「ラ・ブ ロイア」。2 つの丘の間に位置する畑で丘から流され てきた土壌が堆積した沖積土壌。

『肥沃なのでガルガネガをしっかりと成熟させる。詰 まった果実としっかりとした骨格でソアヴェの枠を超 えている』

ヴァルポリチェッラの秘密

畑では有機栽培が実践され、下草は生やしっぱなし。 また、雨が少なく水はけの良いこの地域ではほとん どの造り手が灌漑をしているが、彼等は樹齢 3 年を 超えたら灌漑は行わない。

『雨が降り、土壌が水分を持つか持たないかは、そ の年の天候の大きな要素。灌漑はヴィンテージの個 性を無くしてしまう』

畑の全ての支柱はナンバリングがされ、その列に植 樹されている品種、クローンまで管理されている。他 のどの造り手でもここまで細かい管理はない。

『どのクローンがどの土壌、日照条件と相性が良い かを毎年検証していき将来反映させる』

20 年の歴史しかない若い造り手だからこそ慣習に 捕らわれずに臨機応変に変化している。

『ヴァルポリチェッラは酸度を残して収穫する。半分 は直ぐに発酵。半分は 20 日間室内で自然風にあ てながら追熟してから発酵させる』

この行程によってフレッシュな果実感とコーヒー、ス パイス、チョコレートのような複雑な風味を同時に味 わえる「ロッコロ・グラッシ」ならではのワインができあ がる。