サルタレッリ

 ヴェルディッキオ・カステリ・ディ・イエジの教科書的存在


スパークリングからデザートワインまでヴェルディッキオ種から色々なワインを醸す
32種類ものヴェルディッキオ種のクローンを混植したトラリヴィオはカステリ・ディ・イエジ最高峰


❖カステリ・ディ・イエジの老舗

1960年代、マルケ州カステリ・ディ・イエジでパン職人として成功したのが祖父フェルッチョ・サルタレッリ。パンは家で焼くのが当たり前の時代に高品質パン屋として成功を収めます。
『1972年にカステリ・ディ・イエジの土地を購入。買い葡萄で安価なワインを造るのが当たり前の時代に、葡萄栽培から自社で行う高品質ワイン造りを開始』
当時のカステリ・ディ・イエジは安ワインの産地。高品質ワインを造る事は考えられない事でした。今のこの地の名声はフェルッチョ・サルタレッリのお陰なのです。
『その後、娘、ドナテッラが引き継ぎ、その夫、パトリッツィオが一気に品質を向上させ、カステリ・ディ・イエジを代表する造り手へと成長。現在、息子トンマーゾが醸造を担当』
31haの色々な畑から造られるのがヴェルディッキオ・クラシコ。海洋性気候と大陸性気候の両方の影響を受け、果実の豊かさと山のミネラルの両方を感じさせます。
30ヶ所以上に分かれて色々な個性の畑を所有。北向き斜面で強い西日を浴びないバルチャーナ畑では遅摘みの辛口ヴェルディッキオとパッシートも造っています。
『カンティーナの脇にある畑トラリヴィオは標高350mと高地で南東から南西までの1つの丘陵。32種類のクローンを混植している特別な畑。ヴェルディッキオとしては異例の複雑味』
更に、2019年からシャルマ方式のヴェルディッキオ・ブリュットの生産も開始。シャルマながら6ヶ月間シュール・リー熟成でヴェルディッキオらしい果実とミネラル、酸がバランスします。


❖残存化学物質0

『畑は全て斜面にあるので、土壌が流れ落ちるのを防ぐ為にも、下草は常に生やしっぱなし。畑周辺には森を残す事で多様な有機物を保持している』
広大な自社畑を所有しますが、冬季剪定は全て手作業。1haあたり3,000個の芽を出すように剪定。春の剪定を行わない事で葡萄樹のストレスを減らしています。
『マルケの太陽は強いので南側の葉を全て残し、直射日光を遮り、できる限りゆっくり成熟させる。北側の葉は落とし、風通しを良くし、病気の発生を抑えている』
全ての畑で有機栽培を導入。一切の農薬の不使用を実現。ワインは勿論、葡萄に農薬等、化学的物質が一切残らないレジデュアル・ゼロを実現しています。
『畑で使うのは葡萄樹の病気や害虫への耐性を高めるレジスタンス・インデュサーのみ。原料は色々なハーブと海藻等に酵母を加えたもので100%天然素材のみ』
芽吹き前は植物由来のスプレーで病害虫に対応。芽吹き後はそれも使用せず、葡萄樹自体の耐性を高めるスプレーしか使用しません。畑には一切の科学的物質は存在しません。
『2013年から始め、今では全の畑が無農薬で管理され耐性を高めるリメディが施されている。病気を薬剤で予防するのではなく、葡萄樹の耐性を高めて負けないようにする』
結果として、葡萄果汁は以前より酸化に強くなり、野生酵母の増加によって発酵もスムーズに進むように変化。ワイン自体も抗酸化力が増しています。
『RINA AGROQの認証を得ています。残存化学物質は0.001mg/kgとこの認証機関の定める1mg以下の基準の1/100 となり、ほぼゼロを実現』
飲み手にとって有害な物質がほぼゼロ。飲み手にとって健康的であると同時に働く我々にとっても健康的。更に地球にとっても健康的な取り組みなのです。


❖最高のコストパフォーマンス

■ヴェルディッキオ・デイ・カステリ・ディ・イエジ・クラシコ
ヴェルディッキオ・カステリ・ディ・イエジの教科書的ワインとして日本でもファンの多いヴェルディッキオ・クラシコ。16,000ケースもの販売数を誇ります。
『クラシコはサルタレッリの名刺代わりなので重要。セカンドプレスは一切使いません。ヴェルディッキオ種のピュアさとカステリ・ディ・イエジの温かさを重要視している』
セカンドプレスは全て大きなステンレスタンクで醸され、地元販売用の5リットルボトルに詰められています。これがクラシコの品質を高めている秘密なのです。
■トラリヴィオ
カンティーナの脇にある最も古い畑がトラリヴィオ。平均樹齢は約30年。1つの丘の南東から南西部分まで広がっていて標高は350m。最高の条件が揃っています。
『この畑はヴェルディッキオの32種類のクローンが混植されている非常に珍しい畑。色々な個性のクローンのお陰で複雑味があり、高い熟成能力を誇ります』
■バルチャーナ
北側斜面のヴェルディッキオは生育が遅いので収穫を極端に遅らせる事ができます。この畑の収穫は11月中旬と他の畑より2ヶ月遅いので少し貴腐が着く。
『北斜面は酸度を残しながら、ゆっくり成熟し、糖度を上げる。果皮も含め要素の多い成熟した葡萄を得る事が出来るので、収量は少ないが濃厚で深みのあるワインになる』
■パッシート
バルチャーナの隣の畑。北向き斜面なので生育が遅い。条件は、ほぼ同じだが、こっちの畑は風の通りと湿気がない影響で全く貴腐が着かないのを利用してパッシートを造っています。
『まだ葡萄がフレッシュで青い10月中旬に収穫し、カセットに並べて自然風で半乾燥させる。酸度も5.7g/Lと高いので重くないフレッシュな甘さが特徴』