ウベルティ
●老舗の伝統的『フランチャコルタ』●
重厚なフランチャコルタを醸す老舗。ジャック・セロスで働いた娘が加わり、シャンパーニュのリザーヴ・ワインの考え 方を導入するなど進化している。
老舗らしい重厚な味わい
「エスプレッソ誌」はフランチャコルタの造り手 3 社に 2 ッ星を与えていて、これが最高の評価。 圧倒的シェアを誇る「カ・デル・ボスコ」と「ベッラヴィ スタ」の両巨頭と並んでの 2 ッ星を獲得しているのが 18 世紀からの歴史を誇る「ウベルティ」。
『生産量はカ・デル・ボスコの 1/10程度。自分達で 栽培した葡萄だけでフランチャコルタを醸す』
現在、ジャック・セロス等シャンパーニュで学んだ長女「シルヴィア」と栽培を担当する「フランチェスカ」 を中心に、父で現当主「ジョヴァンニ・アゴスティーノ・ウベルティ」と共に家族経営を続けている。彼女達の「フランチャコルタ」はほとんどイタリア国内の販売なので日本では認知度が低いが、イタリア国内では圧倒的な人気を誇っている。「ヴィッラ」はフランチャコルタ東側に位置する海底が隆起した石灰土壌で気候も冷涼。 一方、「ウベルティ」は「カ・デル・ボスコ」や「ベッラヴィスタ」と同様に西側の代表的産地「エルブスコ」に位置する。
『イゼオ湖からの堆積土壌で砂質が混じりあう。粘土中心の重たい土壌。気候も温暖』
重厚な果実を感じさせる昔ながらのフランチャコルタが産まれる。地中のミネラルよりも地表の太陽を感じさせる味わい。
氷河に流された堆積土壌
彼女等の畑は赤い粘土質土壌と白い石灰土壌、更に川の流れで砕けた石が風化した砂質土壌と色々な土壌が混在している。
『特に赤い粘土質土壌から生まれる果実の厚みは 古典的なフランチャコルタの味わいを作る』
ここに石灰土壌からのミネラルや砂質土壌の芳香 性などが混じり合うことで「ウベルティ」独特のスタイ ルが完成する。
『凝縮した葡萄を収穫することが最も重要。樹勢の 強い若い樹ではなく古樹を重視する』
フランチャコルタでは収穫量の法定基準は10,000kg/haとシャンパーニュ以下。ウベルティでは8,500~9,000kg/ha まで制限している。
高いリザーヴ・ワイン比率
シャンパーニュで学んだ娘「シルヴィア」の影響で「リ ザーヴ・ワイン」の比率を徐々に高めている。
『ジャック・セロスで学んだことは多い。複雑味を持 たせるにはリザーヴ・ワインが重要』
1980 年代初め、野菜栽培や養蚕や酪農と一緒に ワイン造りを始めた。 現当主「ジョヴァンニ」の代に養蚕や酪農を辞め「フランチャコルタ」の生産に注力することとなった。近年、娘達の加入で品質を向上させている。 フランチャコルタは全部で6 種。スタンダード・キュヴェである「フランチェスコ・1」は古典的フランチャコルタの完熟した果実を十分に感じさせる。
『シャルドネらしい強い骨格、熟度。泡は溶け込んで いて柔らかい。重厚なスタイル』
そして、彼女達の代名詞とも言えるのが「エクストラ・ ブリュット・コマリ・デル・サレム」。
『平均樹齢50年の区画。極辛口だが完熟した果実にしっかりとした骨格、熟成からくる複雑味が加わってエクストラ・ドライながらも非常にリッチ』
この区画のみ「シルヴォ仕立」というこの地域の伝統 的な仕立を採用している。
『シルヴォ仕立はこの地域の伝統的仕立で2mの高さまで伸ばす特殊な仕立。湿気の多いこの地域で 風を通しカビを防ぐ効果がある。また葉の量を調整 して日照量を調節できる』
フランチャコルタらしさを充分に感じさせてくれる「ウベルティ」。今後もフランチャコルタを代表する造り手として活躍するはず。