こんなワインです
カルミニャーノの西端の森の中にある畑で周囲は全て森に囲まれている。標高が高いので収穫は通常の造り手より1ヶ月程度遅い。10月第1週にサンジョヴェーゼとカナイオーロ・ネーロ、カベルネは2週目。 セメントタンクで醗酵。野性酵母のみ。温度管理はしない。18ヶ月アリエ産の古オーク樽で熟成。ノンフィルター。
Bacchereto バッケレートのワイン
WINERY
生産者情報
バッケレート
●『カルミニャーノ』唯一のビオディナミ●
ニコラ・ジョリーに影響を受け、ビオディナミに転換。カルミニャーノとしては規格外の骨格と凝縮度。白ワインのサッソ カルロはトレビアーノの遅摘み辛口ワイン。
カルミニャーノ唯一のビオディナミ
「カルミニャーノ」の外れの山の頂上の古い洋館の地 下部分が「バッケレート」のカンティーナ。「バッケレー ト」は酒の神バッカスに由来する。 1920 年からこの地に住む家系で周辺の地主でもあ る「ロセッラ・ベンチーニ」がオーナー。所有地は 150ha だが葡萄畑は 8ha のみ。
『8ha の葡萄畑の為に 90ha の森を残している。葡 萄樹は単独で生きていると弱くなる。他の動植物と 影響しあうことが自然』
未婚の「ロッセラ」は 1 人で洋館に住み、自分で育て た野菜と果物、自作のオリーヴオイル、コンフィチュ ールで自給自足に近い生活をしている。
『レオナルド・ダヴィンチに近い家系でダヴィンチの叔 母が住んでいた建物もある。トスカーナで最も古くか らワイン造りが行われてきた』
本格的なワイン造りは 90 年代から行っているが、 2001 年に転機を迎える。
『ニコラ・ジョリーに感銘を受けた。技術的なことでは なく、自然を尊重する姿勢や、現代の科学醸造の悪 い部分が理解できた』
2001 年、醸造所内の全ての薬剤を捨て、ビオディナ ミに変更。一切の薬剤の使用を禁止した。
『初年度は偶然良かったが、翌年からが大変だった。 葡萄樹は薬剤に慣れていて強くなかった。病気と害 虫に侵され葡萄は激減した』
薬剤の代りに空豆を
2002 年は天候が良く、病気も少なかったので素晴ら しい結果だった。しかし、それは偶然だった。 翌 2003 年の暑さと乾燥に葡萄樹は耐えきれなかっ た。更に 2004年の湿気にも耐えきれなかった。収量 は半分以下まで減り、品質も良くなかった。
『当時の土壌は死んでいた。空豆や麦を植え、地中 の微生物を増やすことから始まった。緑肥だけで土 壌は健全さを取り戻した』
「ロッセラ」は生産量が減ってもは諦めずにビオディナ ミを続ける。緑肥・豆類を植え、ある程度育ったら浅く 耕し、土に返していく。
『地中のバクテリアが増えて土の香が変わった。春 先に耕すだけで他は何もしない。土壌は自然のサイ クルに入り自分で生き返った』
土壌が生き返ると畑の個性が出てきた。昔は個性で はなく問題点と感じていたが、今では個性だと思える ようになってきた。
『小川に近い区画は湿気が多く、カビが出やすい。 下部なので成熟も遅い。以前は問題点だと思って いた。今はこの個性を活かして遅摘みの辛口サッソ カルロを造っている』
古くからトレビアーノが植えられた小川に面した区画 は毎年貴腐菌が発生する。 以前は薬剤でカビが着かないようにしていたが、今で は貴腐菌を利用して遅摘みし、複雑味のある辛口の 白ワインに仕上げている。
醸造責任者マルコ
醸造責任者は「マルコ」。「ロッセッラ」の最高の理解 者で栽培責任者でもある。土壌改良を進めた彼等 は葡萄の強さを活かす醸造へと変わっていく。 発酵槽はステンレスタンクからホーロータンクとセメン トタンクへ変更。
『空気との接触を促し、酵母に自由に発酵させる。 ステンレスは電気を通すので少なからずワインが影 響される。自然な環境がいい』
熟成に使われる樽は 2008 年まで徐々に買い足して きた。中古樽は衛生状態が確認できないので嫌い、 新樽を買い足してきた。 当初は樽香がどうしても出てしまったが、今では新樽 はほとんど使われていないので樽のニュアンスも減り、 葡萄自体の個性が出ている。
『コンフィチュール作りでも良い果実があれば砂糖は 最小限で良い。ワイン造りも同じ。良い葡萄ができ れば何も足さない方が良い』
彼等のカルミニャーノは進化している。葡萄の凝縮 度は更に高まっているが、重くない。ジューシーでフ レッシュな果実が前面に出ている。 「ロッセッラ」の人柄のように楽しく躍動感のあるワイン になってきた。