こんなワインです
100%プリエ・ブランでこの地域に伝わる古いクローン。高い酸度のプリエ・ブランの個性を活かす為に造られたスプマンテ。1次発酵は大樽とステンレスタンクで行い、瓶内2次発酵。その後18ヶ月間以上のシュール・リー熟成を経てデゴルジュマン。アルコールは11.5%程度と低め。
カーヴ・デュ・ヴァン・ブラン・ド・モルジェーのワイン
WINERY
生産者情報
カーヴ・デュ・ヴァン・ブラン・ド・モルジェ
●世界最高標高1200mの畑『モルジェ』●
高地でも栽培が可能なプリエ・ブラン種の爽やかな白ワイン。ヴェロネッリが『最も無くなって欲しくないワイン』と評したことでも有名。栽培エリアは20haしかない。

ヴェロネッリが愛したワイン
緑がかった光沢のある色調。細身のワインながら、鉱物的で上質な酸は高地ならでは。香りは直線的で全く曇りがない。
『アロマティックでなく硬質。アルプスの岩清水のように爽やか。プリエ・ブランならではの味わいで他の産地にはない』
フランス国境に近いモルジェの町の周辺とサッレ地区合わせて20haという小さな産地が「ブラン・ ド・モルジェ・エ・デラ・サッレ」。この産地を引率してきたのが1983年設立の協同組合「カーヴ・デュ・ヴァン・ブラン・ド・モルジェ」。栽培農家参加型の地元密着協同組合。
『栽培農家は醸造所である一定期間働かなければならない仕組みになっていて、葡萄栽培だけでなく、実際の醸造や瓶詰めも組合員が行う』
イタリアワインの品質向上と地域性を提唱した故ルイジ・ヴェロネッリは彼等のワインの支持者。
『20haしか残っていないプリエ・ブラン種。イタリアのワインで最も無くなって欲しくないワイン』
(ルイ ジ・ヴェロネッリ)

モンブランが育てたワイン
モンブランを望む断崖絶壁に位置する畑は最も高い標高で1,200m。ヨーロッパで最も標高の高い葡萄畑ということになる。
『栽培学では通常標高600mを超えると葡萄栽培は難しいとされる。プリエ・ブラン種は高地に適応する珍しい品種』
厳しい自然環境に耐える品種は限られる。プリエ・ブランは古くからこの地域に適応してきた。この品種以外は植樹することすらできない。
『プリエ・ブランは少ない日照でも生きる。そして発芽から完熟までの期間が短いので寒波が来る前に収穫できる』
1年を通じて極端に気温が上昇することがない。しかし、直接の日光だけでなく残雪で白いモンブランに反射した日射も葡萄育成を促進する。
『モンブランの雪が日光を反射して葡萄樹を温める。春には雪が解けて土壌に水分を与える。モンブランが葡萄を育ててくれる』
ワイン造りを苦しめる最大の問題は春先の遅霜。発芽準備に入った葡萄の芽は霜によって全滅してしまう年もある。非常に厳しい環境。果実を付けたとしても丁寧な摘葉、摘房をして熟度を保つ努力が必須。最終的に熟度が足りない葡萄を選別すると1haから3,000本以下しか造ることができない。仕立ては極端に低いペルゴラ。冬の間の強風や霜にも対応できる仕立。また、表土が日中の熱を夜間放射する際、低い仕立ての方が熱を葡萄樹に取 り込みやすいという利点もある。畑は急斜面に岩壁で張り付くように作られた段々畑。トラクターなどの大型の機材は入れない。よって毎日の畑仕事、雑草対策、収穫まで全てが 手作業で行われる。
『一番の問題は高齢化。老人にとって急勾配の段々畑での作業は大変だし、危険。栽培放棄され荒地になってしまった畑も多い』
また、標高の高さによってカビや病原菌が少ないの もこの地域の大きな特徴。除草剤は勿論、防カビ剤も使用しない。ボルドー液のみ使用。
『霧が多く湿気の多いピエモンテに比べて雨が少なく乾燥している。昔から農薬の量はピエモンテの1/4程度と少ない』

フィロキセラも辿りつけなかった
厳しい環境の為に徐々に葡萄栽培家や生産者の数は減少している。栽培家にとっても厳しい環境だがフィロキセラにとっても厳しい環境。
『標高が高いのでフィロキセラも辿りつけなかった。自根の樹をプロヴィナージュで残している』
彼等は貴重な原種のプリエ・ブランを残す為にプロヴィナージュで種を残している。
『死んだ樹の隣の樹の枝を地中に一度通し、先端を地表に出しておく。地中の枝から根が生えて1つの樹に成長していく』
枝が成長し3年後位には親木から切り離し、1つの樹として成長していく。枝が1つの樹になっていく期間は病気にも弱い状態。樹がつながっている間に子供の樹が病気になると親 樹にも伝染してしまうので危険な手法だが、これによってしか原種は残せない。
