こんなワインです
フレッシュさが大切
50%グルナッシュ, 40%サンソー, 10%カリニャン。典型的ガレの土壌と一部砂質の畑。1975年に植樹された畑が主体。醸造はシンプル。全ての品種を全房のままダイレクトプレスし、そのままセメントタンクで2週間発酵。温度は19度を超えないようにしてフレッシュさを確保する。シャルヴァンのワイン
WINERY
生産者情報
シャルヴァン
●『全房発酵』『コンクリートタンク熟成』●
R.パーカーがラヤスに最も近く、ラヤスより重厚と評した若手注目株は伝統的醸造に拘り、自然で綺麗なシャトーヌ ッフ・デュ・パプを目指している。唯一無二の個性。
1990年初ヴィンテージ
ドメーヌ・シャルヴァンは 1851 年に「ギョーム・シャル ヴァン」によってシャトーヌッフ・デュ・パプの北端、オ ランジェに創設された。当初は野菜と葡萄の栽培を 行う典型的な栽培農家であった。
『100 年後の 1951 年に醸造を開始。一部はボトリ ングしていたが、ほとんどはバルク販売していた』
1990 年に現当主「ローラン・シャルヴァン」が 20 代 の若さで相続すると畑の改良を進め、品質重視に 切り替え、ボトリング比率を高めていく。
『6 代目、ローランは若く積極的で有機栽培を開始。 更に伝統的全房発酵と大型セメントタンクでの発 酵・熟成を導入した』
1990 年が正式な彼等のファースト・ヴィンテージで 当時は全く無名だったが、R.パーカーが「ラヤスに 最も近い造り手」と称したことで注目される。 代々、北部の北斜面の多様性のある土壌を持つ畑 を所有していたのも幸運だったが、若く真面目なロ ーランの仕事で一気に評価を高めていった。 当時の所有畑はシャトーヌッフ・デュ・パプは 4ha の み。徐々に増やし、現在では 8ha を所有。シャトーヌ ッフに隣接するコート・デュ・ローヌにも 12ha を所有 している。
北部北向き斜面
『所有畑は全てシャトーヌッフ北部の北向き斜面で 粘土石灰質を中心に砂岩質、チョーク質も含む。南 部の大きな石に覆われた暑い畑ではない』
キャブリエール、モーコイユ、アルネスクの 3 つのリュ ーディに位置していて、14 区画に分かれている。全 て北部。典型的な「ガレ・ルーレ」と呼ばれる石に覆 われた畑は少ない。 沖積層由来する海洋性砂岩の畑と赤い粘土質の 畑が主で、ローヌ川に方面では僅かにチョーク質の 畑も所有する。
『グルナッシュは酸性で PH が高い土壌と相性が良 い。砂岩は酸性で PH も高いので理想的』
また、北向き斜面は日照量が比較的少なく、葡萄 の成熟がゆっくり進むのでフェノール類が複雑で豊 富になる傾向がある。 ローランは暑いシャトーヌッフでは石に覆われた畑や 南向き斜面は過度に葡萄樹を暖めてしまうので、ワ インに緊張感が足りなくなると考えている。
『石に覆われた畑は過熟気味で熱さを感じさせる。 決してガレ・ルーレが最高の条件ではない。色々な 土壌のアッサンブラージュが重要』
シャトーヌッフの標高は 120m程度と低く、年間を通 して温暖でミストラルによって乾燥しているが、ローヌ 川のお陰で地下に水脈があり、葡萄樹は過度な水 分ストレスはない。 更に、グルナッシュは寒さに弱く、晩熟な品種なので 9 月も暑いシャトーヌッフの北側斜面でゆっくり成熟 することで複雑味を得ることが可能になっている。
全房発酵・セメントタンク熟成
1990 年が初ヴィンテージの新しい造り手でありなが ら、栽培、醸造、熟成まで現代的な要素は全く無い のがローランのワイン造り。 畑では除草剤、防虫剤、防カビ剤は一切使用しな い有機栽培を実践。醸造面も栽培同様に、過度な 介入を避けるミニマリスト。
『80%がグルナッシュでシラー、ムールヴェードル、ヴ ァカレーゼ、カリニャンを栽培。シャトーヌッフは全て 樹齢 50 年以上』
最も古い区画は 1910年に植えられた区画で最も若 い区画でも 1970 年代に植樹されている。仕立ては 伝統的「ゴブレ」。 収穫は全て手収穫。全房を使ってセメントタンクで 発酵。酵母は野生酵母のみ。
『濃厚さが求められるシャトーヌッフで全房発酵する 造り手は一時期シャルヴァンだけになっていたが、 近年少しずつ増えてきた』
果実だけでなく、茎まで熟した房でないと全房発酵 はできないが、北向き斜面の畑はゆっくり熟すので 茶色く熟した茎を使える。
『全房はワインに適度なタンニンと清涼感を与える だけでなく、酵素の働きで発酵をスムーズに進める 力も持っている』
発酵槽は大型の伝統的セメントタンク。マセラシオン は約 1 ヶ月間と現代のシャトーヌッフ・デュ・パプでは 異例の長さ。 ほとんどの造り手がバリックで熟成させる中、ローラン のセラーには 1 つのバリックも無い。
『土地の味を表現するには、できる限り何もしない のが正しい。香やタンニンを与えないセメントタンク での熟成が最も適している』
R.パーカーは「シャトーヌッフのリシュブール」とシャ ルヴァンを評したが、一方でラヤスより重厚とも評し ている。 自然な造りの彼等のワインは流動的だが古樹だから こその重厚な味わいも持っている。