こんなワインです
花崗岩の区画の葡萄のみ。最も旨味を感じるエキュを代表するムロン・ド・ブルゴーニュ。最も凝縮感を感じるワイン。空気圧プレス後、色々な大きさのアンフォラに入れ、自然酵母のみで発酵。コンクリートタンクで澱と共に15ヶ月以上の長期熟成。温度コントロールもなし。清澄、濾過なし。ラベルは北フランスのル・マン大聖堂のステンドグラス。
レキュのワイン
WINERY
生産者情報
レキュ
ミュスカデで自然栽培、自然醸造を始めたパイオニア
伝説的醸造家ギィ・ボサールの遺志を継ぎ、ミュスカデでテロワールを表現
20年以上ビオディナミ、欠陥のないアンフォラでの醸造で素晴らしい完成度
❖自然醸造ミュスカデの元祖❖
ミュスカデ・セーブル・エ・メーヌに5代続く老舗ドメーヌ・レキュ。大都市、ナントの南東、ランドローに25haの葡萄畑を所有する老舗ドメーヌです。
『5代目当主はギィ・ボサール。ニコラ・ジョリー、マルク・アンジェリ、ピエール・ブルトンと共にロワールに自然農法を定着させた偉大な醸造家としてミュスカデで最も重要な人物』
ギィは1972年にドメーヌに参画。すぐに有機栽培を導入。当時のミュスカデは安ワインの産地で工業的葡萄栽培が蔓延。有機栽培は皆無でした。
『1990年からはビオディナミを導入。1998年にはデメテル認証を25ha全ての畑で取得。2014年にはビオディナミの認証であるビオディヴァンの認証も取得』
同時に醸造所内ではワインを標準化しうる全ての機材を排除します。醸造技術で味わいを作るのではなく、活性化した畑、葡萄樹の個性をワインに移すのがギィの信条でした。
『培養酵母、酵素処理、温度管理、フラッシュ・デタント、逆浸透膜、アラビアガムなど、ワインを標準化し、魂の抜けたワインを造るプロセスは、ここには存在しない』
葡萄のエネルギー量が多ければ、酸化防止剤も少なくて問題ありません。彼等の総亜硫酸量は40 mg/L以下で、デメテルの規格(90mg)の半分以下となっています。
『化粧は必要ないのです。誤魔化しや虚栄のない純粋無垢なテロワール表現こそがワイン造りです。醸造家がテロワールに介入し、変更してはいけない』
純粋さを楽しむ為には良き理解者による流通、そしてサーブが大切です。コペンハーゲンのノーマやN.Yの3ッ星、ル・ベルナダンといった世界最高峰のレストランでサーブされています。
『ミュスカデは低価格で軽く薄いワインではないのです。ミュスカデという品種がこのテロワールの個性を表現すれば、ブルゴーニュやシャンパーニュと同じように偉大なワインに成り得る』
❖伝説の醸造家ギィ・ボサール❖
2023年、ミュスカデに自然栽培、自然醸造を根付かせた偉大なパイオニア、ギィ・ボサールは亡くなりました。その遺志を継ぎ、ドメーヌを更に前に進めているのがフレッド・ニジェール。
『2009年、後継者がいなかったギィの下で働き始め、ギィのフィロソフィーを学び、栽培、醸造を経験。同時に醸造学校に通い、醸造学士を取得』
2013年、病気がちだったギィは引退。ドメーヌはフレッドが引き継ぎます。畑、醸造設備も全て引き継ぎ、ギィ・ボサールの伝説的ワイン造りは次の世代に継承されたのです。
『40年以上有機栽培が続けられ、その内20年以上はビオディナミで活性化された畑は既に、それぞれの個性(テロワール)を最大化している。最良の状態だ』
忠実にギィのワイン造りを継承すると同時に、仲間のヴィニュロン達と協力してカベルネ・フラン、この地の土着フォールブランシュによるワインもリリースします。
『2014年には、友人マルク・アンジェリの協力でサンソニエールとドメーヌ・サン・ニコラからシュナン・ブランの良いクローンを移植。ミュスカデの地でのシュナン・ブランも始まった』
生物多様性の維持、低収量、手収穫、土着酵母による発酵、マストのポンピングやラッキングなし(重力のみ)、最小限の亜硫酸の6つが重要なルールなのです。
❖アンフォラは理想的❖
『畑の周りに自生する植物を使って葡萄樹に活力、病気に備える情報、エネルギーを与える事ができ、それによって銅や硫黄に頼る回数を減らす事ができる』
植物を煎じて畑に撒くのは一種のホメオパシーであり、ビオディナミ以外でも生活の知恵としてフランスだけでなく、日本でも行われてきました。特別な事ではないのです。
『スギナの煎じ茶は開花前に。開花時期にはヤロウとヤナギの煎じ茶といった具合に、その時必要な処置をする事で銅、硫黄も含め、何も使わない栽培を目指す』
これらの植物の多くはサリチル酸を含み、葡萄樹の抵抗力を高め、ナント地区での主な問題であるベト病と闘う能力を高めるという効果が立証されているのです。
『グラヴネル、コス、フォラドーリといった偉大なワインがアンフォラで醸造されていた事に驚き、フィリップ・ヴィレ(ドメーヌ・ヴィレ)と出会い、アンフォラを学び始めた』
古代、ワイン造りの始まりはアンフォラだった。その後、便利さを求め、木樽、ステンレスタンクに移行していった。それはワインと自然の繋がりを失う事でもあったのです。
『粘土の自然な起源とテラコッタの中性は、果実の純粋さとテロワールの表現を尊重する。自然な温度調節と澱の循環はワインの複雑さに貢献している』
彼等にとってアンフォラはビオディナミの思想と強く結びついており、アンフォラを使った醸造は必然でした。より土壌の影響を受け、余計な物質を与えない事が重要だったのです。
『ステンレスタンクの嫌気性や木樽のタンニンといった醸造による情報をワインに与える事は自然農法と自然醸造の考え方に則していないと思うのです』
ドメーヌ・レキュでは畑毎、土壌ごとに、そのテロワールを尊重したワイン造りを行っているので、約20種類のキュヴェがあり、生産量は各1,000本程度と非常に少なくなっています。
■グラニット=花崗岩
花崗岩の区画のみで花崗岩の個性を追求。コンクリートタンク醗酵、熟成。柑橘系で強いミネラルと余韻の苦み。オイリーで少し膨らみのある酒質。
■オルトナイス=正片麻岩
火成岩が変性作用により片麻状組織になった正片麻岩の区画のみ。コンクリートタンク醗酵、熟成。石っぽい硬質感と強い塩味。垂直性があり、余韻はまっすぐ伸びていく。少しの甘味。